金融政策は種々の影響考慮し検討、付利下げ検討せず=日銀総裁

日銀の黒田東彦総裁は10日午前の参院財政金融委員会に出席し、
先行きの金融政策運営について、様々な影響を考慮して十分に
検討していきたいと語った。

また、当座預金の超過準備に付している金利
(付利、現行0.1%)について、引き下げや
撤廃は検討していないと改めて明言した。

大久保勉委員(民主)の質問に答えた。

総裁は、中国経済の減速懸念などを背景に金融市場が
不安定化する中、「金融市場は中国株下落など背景に
かなり振れが大きい展開が続いている」としたが、
世界経済は先進国を中心に「緩やかに回復しており、
先行きも緩やかな回復が続く」との見通しを示した。

日本経済も緩やかな回復が続いているとし、
「企業収益が既往最高水準になるなどファンダメンタルズは
しっかりしている」と主張。

7〜9月の実質経済成長率は「毎月の各種の統計を
見る限り、プラスになる可能性が高い」と語った。

一方、物価については、原油価格下落の影響を受け、
日銀が2%の物価安定の目安としている生鮮食品を
除く消費者物価(コアCPI)の前年比がゼロ%程度に
低迷している。

総裁は「物価の基調は着実に高まっており、今後も
高まっていく。消費者物価は物価安定目標である2%に向けて
上昇率を高めていく」と基調改善に自信を示しながらも、
原油価格の動向によって物価の見通しが変動することは
避けられない」と指摘。

物価が2%に達する時期について「2016年度前半ごろに
なると予想している」と現行見通しに変化はないとの見解を
示す一方、「原油価格の動向に応じて多少前後する可能性は
ある」と語った。

その上で先行きの金融政策運営について「その時々の
金融経済情勢に応じて適切な対応をする」とし、
金利低下に伴う金融機関の利ざや縮小などの影響も含め、
「様々な影響を考慮する必要があるので、十分金融政策に
ついては検討していきたい」と表明。

現行の量的・質的金融緩和(QQE)は「所期の効果を
発揮している」としながら、2%の物価安定目標の
実現には「道半ば」と述べ、達成までQQEを
継続する方針を示した。

当座預金の付利については、QQE推進のもとで
「大量のマネタリーベースの円滑な供給に資するもの」とし、
「付利の引き下げや撤廃は検討していない」と明言した。