世界経済は緩やかに成長、物価基調は着実に改善=日銀総裁

黒田東彦日銀総裁は17日、都内で開かれた
全国証券大会であいさつし、中国経済
減速懸念などを背景に不透明感が強まっている
世界経済について、新興国が減速しているが
先進国は堅調とし、全体では緩やかな成長が
続いているとの認識を示した。

総裁は世界経済に関して「このところ新興国経済が
減速している」としたが、「米国をはじめとする
先進国経済は堅調であり、世界全体として見ると
緩やかな成長が続いている」との認識を示した。

その上で日本経済には、新興国減速の
影響が輸出・生産面に見られると指摘。

しかし、企業・家計の両部門で所得から支出への
前向きな循環メカニズムが「しっかりと作用している」
と述べ、景気は「緩やかな回復を続けている」と語った。

先行きも、輸出は「当面横ばいの動きを続ける」が、
「その後は新興国経済が減速した状態から脱していくに
つれて緩やかに増加していく」と展望。

日本経済は「緩やかな回復を
続けていく」との見通しを示した。

物価面では、生鮮食品を除いた消費者物価(コアCPI)が
前年比ゼロ%程度に低迷しているが、下落が激しい
エネルギー価格の影響を除いたベースで見ると
「物価の基調は着実に改善している」と強調。

先行きについても、エネルギー価格下落の影響が
はく落するに伴って、目標とする「2%に向けて
上昇率を高めていく」との見解を示した。

現行の量的・質的金融緩和(QQE)は「所期の効果を
発揮している」とし、2%の物価安定目標を目指して
安定持続に必要な時点まで継続すると表明。

その際、経済・物価情勢の上下リスクを点検し、
「必要な調整を行っていく」と語った。

総裁は最近の金融市場の変動について
「グローバルに振れの大きい状況」と指摘。

株価も「このところ世界的に不安定な状況」だが、
日本の株価は「やや長い目で見ると、企業収益や
実体経済の改善を反映して上昇している」との認識を
示した。