フォルクスワーゲンCEO辞任、米排ガス規制逃れで引責

フォルクスワーゲンVW)のウィンターコーン
最高経営責任者(CEO)は、米排ガス規制逃れが
発覚したことを受けて、辞任すると発表した。

ウィンターコーン氏は「VWには心機一転で
再出発が必要」とし、自ら退くと述べた。

8年に及ぶウィンターコーン氏の指揮下で、VW
販売を倍増させ、利益をほぼ3倍に伸ばした。

好調の波に乗る中で、同氏はトヨタ自動車
ゼネラル・モーターズGM)を抜き、
自動車業界トップに立つと宣言して
はばからなかった。

だが販売台数を優先する姿勢は、過去にトヨタ
質より量を追求し、意図せぬ加速問題で大量リコール
(回収・無償修理)に追い込まれた姿とも重なる。

VWはまだ後継者を指名していないが、25日開催の
取締役会に新経営陣の人事案が提出されるとしている。

関係筋によると、傘下のポルシェ、アウディ、及び
VWブランドの各トップが後継候補に浮上。

中でも、ポルシェのトップ、マティアス・ミューラー氏が
グループ内での経験を評価され、最有力視されているという。

同氏はVWを支配するピエヒ、
ポルシェ一族にも近いとされる。

前週末に不正が発覚して以降、
危機は加速度的に深刻化している。

米司法省が刑事捜査に着手しているとされるほか、
欧州やアジア諸国、カナダもこの件について調査を
開始した。

業界への影響も大きく、米国のディーラーは
顧客のディーゼル車離れを指摘する。

VWは前日、65億ユーロ(73億ドル)の
引当金を計上すると発表。

だが対象車は世界で1100万台販売されており、
そのすべてをリコールするだけで費用は
60億ユーロを超える(コメルツ銀行
サーシャ・ゴメル氏)。

今後の当局による制裁金や刑事捜査、販売への
影響などを考慮すると、十分とは言い難い水準だ。

また市場関係者の間では、VWの株価急落を受けて、
買収の標的になるのではとの観測も流れる

フィアット・クライスラー・オートモービルズFCA)が
提携相手を模索するなど、業界再編につながる可能性も
あるとの見立てだ。

VW株価はこの日、一時4年ぶり安値の95.51ユーロまで
売り込まれたが、結局5.2%高の111.5ユーロで終了した。