ECB、12月の追加緩和示唆、利下げ含め「あらゆる手段」検討

ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は、新たな
金融緩和手段を検討しており、12月の理事会で
発表する可能性があると表明した。

インフレ押し上げに向け、
中銀預金金利の追加引き下げにも言及した。

総裁は理事会後の会見で、需要下振れを背景とする
原油安が起因となりインフレ期待が低下し、預金金利
引き下げを含むあらゆる手段を検討するに至ったと
経緯を説明。

「必要なら行動する用意がある。
いかなる手段も排除しない」と言明した。

その上で「理事会は担当部署にあらゆる手段の
利点とコストを調査するよう指示した。待ちの
姿勢ではなく、取り組み検証していく」とした。

12月は、スタッフ予想で新たなインフレ見通しが
示されるため、決定を下す上でより望ましい状況に
あると指摘した。

ECBが注視する主要リスクとしてユーロ高、商品
コモディティ)価格の下落、新興国の経済減速の
3つを強調。

昨年の原油急落によるベース効果が後退するため、
その頃までにインフレ押し上げを支援するかもしれないとし、
「こうした状況を踏まえ、金融政策の緩和度合いを
12月の理事会で見直す必要がある」と言明した。

総裁の発言を受け、ユーロは急落。

欧州株・債券はともに大幅高となった。

ECBが預金金利を初めてマイナスに
引き下げたのは昨年6月。

その後にマイナス0.2%に引き下げ、ドラギ総裁は当時、
これ以上の引き下げはないとの立場を示していた。

それから約1年、総裁は再び
預金金利の引き下げに言及した。

「インフレ期待の低下に伴い実質金利は上昇する」とし、
「これがその他の非標準的措置を検討した理由であり、
預金金利の引き下げもそのうちの1つ」と明言した。

方針転換はECBの信認を損ねないかとの意見に
対しては、「中銀の信認とは責務により評価されるべきであり、
その点においてあらゆる手段を活用する可能性がある」と
一蹴した。

理事会前は、ECBが12月か1月に量的緩和策(QE)を延長、
または拡大するとの見方が大勢で、預金金利の引き下げを
見込む向きはほとんどいなかった。

ドラギ総裁は、現在月額600億ユーロ(680億ドル)の
国債買い入れを2016年9月まで完全実施するとし、
それ以降の継続もあり得るとした。

市場では追加緩和観測が高まったが、総裁は「すべての
金融政策手段について率直に議論した。(預金金利引き下げに)
加えて、他の手段も協議した」とし、具体的な手掛かりを
与えなかった。

ECBは同日、主要政策金利
すべて据え置いた。