アジア減速、邦銀経営への影響を注視、現時点では限定的=日銀

日銀は23日、金融システムの現状と展望をまとめた
「金融システムリポート」を公表した。

夏場以降の中国株急落などをきっかけにした
金融市場の不安定化や、中国など新興国経済の
減速が国内銀行の経営に与える影響を分析し、
今のところ影響は限定的とした。

ただ、動向次第ではリスクと財務基盤の
バランスなどへの影響に注視が必要としている。

大手行を中心に海外向け貸出の増勢が続くなか、
最近の中国をはじめとした新興国経済減速や
市場変動が邦銀経営に与える影響も懸念される。

リポートによると、アジア経済の減速懸念の
強まりを受け、これまで高い伸びが続いてきた
アジア向けの貸出が鈍化するとともに、足元では
「関連融資の審査や中間管理を慎重に行う動きも
見られる」という。

ただ、経営への影響では、信用コストの目立った上昇は
見られていないなど、「金融機関の健全性への影響は
今のところ限定的」と分析。

株安とボラティリティの上昇を受けて9月末の
金融機関の有価証券評価益は3月末に比べて
11.9%減少するとともに、株式リスク量は
19%増加したが、39.6兆円のリスク量に対して
53兆円の自己資本保有するなど「リスク量対比で
みて資本基盤が充実した状況にある」としている。

もっとも、金融市場のボラティリティの高まりは
「その度合いによっては、金融機関のリスクと
財務基盤のバランスに影響を及ぼし得る」と指摘。

アジア経済のさらなる減速も「金融機関の貸出
ポートフォリオの質にも影響する可能性がある」とし、
適切なリスク管理を促している。