日銀総裁、政策継続で物価2%「必ず達成」、新興国リスク警戒

日銀の黒田東彦総裁は6日、都内で開かれた
内外情勢調査会で講演し、日銀が掲げる2%の
物価安定目標は「必ず達成できる」と自信を示した。

現時点では、現行の量的・質的金融緩和
(QQE)の継続で実現できるとも語った。

一方、中国など新興国経済の減速がより強まったり、
長期化する場合、企業の設備投資や賃上げに影響する
リスクに警戒感を示した。

総裁は日本経済について「ファンダメンタルズは
しっかりしており、企業や家計を取り巻く環境は
数年前に比べて大きく好転している」とし、「物価の
基調も着実に改善している」と強調した。

中国をはじめとする新興国経済の減速を受けて
輸出や生産が低迷しているが、「労働需給に緩みが
見られず、完全雇用と言ってよい」と指摘。

「今回の景気回復局面は労働集約的な非製造業が
主導している」とし、「需給ギャップは労働面を
中心として着実に改善傾向をたどっている」と語った。

こうした点を踏まえ、QQEは「デフレの脱却に向けて、
所期の効果を発揮している」とし、「2%の物価安定の
目標は必ず達成できる」と表明。

QQEは「無理に物価だけを引き上げる政策ではなく、
賃金の改善を伴う緩やかな物価上昇を実現するもの」
と説明した。

今後の金融政策運営は「引き続き2%を目指し、
過去に例を見ないこの大規模な金融緩和を
続けていく」とし、「現時点で、現行の政策を
継続することで2%を達成できる」と明言。

一方、新興国経済の減速など経済・物価の
「下振れ要因も意識」して点検を続け、「2%の
早期実現のために必要と判断すれば、躊躇なく
対応する」と述べ、市場の追加緩和期待をつないだ。

「政策手段に限りがあるとは
考えていない」とも語った。

リスク要因では、中国をはじめとする新興国経済の
減速の影響を「最も重要」と指摘。

中国経済は「本年末から来年にかけては、成長率は
高まる方向にある」とし、「ハードランディングの
可能性は薄い」との認識を示した。

もっとも、「中国経済が持ち直しても、それがどの程度、
中国以外の東アジア経済を押し上げるかは不透明な部分が
残る」とした。

新興国経済が「非常に大きく下振れたり、減速が
長く続くような場合」には、企業が先行き懸念を
強めて設備投資や賃上げを抑制し、「堅調な内需
先行きにも影響を及ぼすことになる」可能性に
警戒感を示した。

その上で、賃上げが十分に行われない場合は「消費者の
物価上昇に対する抵抗感が強まり、物価の上昇ペースが
下振れるリスクがある」ことに言及した。