国民はデフレ脱却と評価、政策現状維持重要=日銀議事要旨

日銀が25日公表した議事要旨によると、10月30日の
金融政策決定会合では、物価上昇率がゼロ%であっても
家計は物価が上がっていると認識しており、デフレから
脱却しつつあるとの指摘が出ていたことが分かった。

同会合で日銀は2%の物価目標達成時期を延期し、
事前には市場で追加緩和観測も出ていたため、
議論の内容が注目されていた。

議事要旨によると、委員らは「2%の物価目標は
安定的に達成すべきで物価の基調的な動きを
重視すべき」点で一致。

一人の委員は「物価の改善基調を維持するように
金融政策を運営すれば日銀への信認は失われない」
と指摘した。

仮に追加緩和に踏み切る場合も「手段に
限界はない」と一人の委員は述べた。

日銀が本来政策運営の目安としている消費者物価指数
生鮮を除くコアCPIが前年比ゼロ%近傍で推移しているにも
関わらず、物価が基調的に上昇しているとみる根拠として、
多くの委員は、生鮮食品をエネルギーを除いた消費者物価指数
(日銀版コアコア指数)が前年比1.2%まで上昇している
ことを挙げた。

コアCPIの上昇品目比率から下落品目比率を差し引いた
指標がはっきり上昇している点も取り上げた。

ある委員は「多くの国民や企業経営者の間は
『量的・質的緩和(QQE)』は所期の効果を発揮し、
デフレ脱却は進んでいると評価。現状の政策持続により
信認を保つのが重要」と発言。

また「購入頻度の高い商品の値上がりを消費者は
敏感に感じとっており、デフレではないとの意識が
広まっている」、「家計はコアCPIの前年比が
ゼロ%程度でも物価は大きく上がっていると
実感している」との声も出た。

もっとも物価の先行きには下振れ
リスクがあるとの意見も多数出た。

多くの委員が「新興国経済の減速に
注意すべき」と指摘。

海外経済の不透明感から企業が賃上げに慎重になれば
「物価の上昇ペースが下振れるリスクがある」との見方を
委員は共有した。

複数の委員は「2017年4月の消費税引き上げによる
需要の減少が物価の基調の悪化につながるリスクに
留意必要」との懸念を表明した。

日銀は2013年4月にQQEを打ち出した際、2年程度で
2%の目標達成を掲げたが、現実には目標達成時期の
延期を繰り返している。この点について委員らは
「予想物価上昇率を2%にアンカーし直さなければならない
日銀にとって、(2年との)コミットメントは必要な措置」
との認識を示した。

これに対して、2017年度末までの見通し期間中での
目標達成は無理とみる一人の委員が、2年とは、
「常に(現時点から)先行き2年程度を念頭に置く
ローリングターゲットと考えている」との見解を述べた。