物価2%「2016年度末から2017年度初め」=白井日銀委員

日銀の白井さゆり審議委員は25日、島根県松江市で講演し、
消費者物価が目標の2%程度に近づくのは2016年度末から
2017年度初めとし、日銀の中心的な見通しよりも慎重な
見解を示した。

足元の物価低迷はエネルギー下落に伴う一時的なものとし、
現時点で金融政策対応を要するものではないと語った。

日銀は10月30日に公表した「経済・物価情勢の展望
(展望リポート)」で原油価格の下落などを背景に経済・
物価見通しを下方修正するとともに、目安とする生鮮食品を
除いた消費者物価(コアCPI)が2%に達する時期を
「2016年度後半ごろ」に先送りした。

白井委員はこれまでも政策委員の中心的な見通しに
比べて慎重な見方を示していたが、さらに自身の
見通しを「幾分下方修正」したと指摘。

コアCPIが2%に「近づく時期」を「2016年度末から
2017年度初めごろ」に1四半期ほど後ずれさせた
と語った。

その上で、物価見通しのリスクについて「予想物価上昇率
着実に上昇していくには予想以上に時間がかかるリスクもある」
とし、「全体として下方に傾いている」との見解を示した。

もっとも、足元のコアCPIがゼロ%程度に低迷しているのは
エネルギー価格の下落が要因で、「一時的なもの」と認識。

エネルギー関連以外の幅広い品目で物価が上昇しており、
「デフレに逆戻りするリスクは低い」と語った。

このところ弱い指標も目立ち始めた予想物価上昇率についても、
需給ギャップの改善に伴って「2016年初めごろから物価上昇の
伸び率が高まっていけば、持続的な上昇に転じていく」
との見方を示した。

先行きも、名目賃金の上昇や需給ギャップの改善によって
「物価上昇がより持続性を増していく可能性がある」とし、
足元の物価低迷でも「現時点では金融政策による対応を
要するものではない」と主張。

金融政策運営は「現在の金融緩和的な環境の下で、
先行きの物価が上昇傾向を示すのか注視する段階に
ある」との認識を示した。

一方、「想定した通りの物価上昇パスがまったく
見られない場合」の対応として、「金融政策による
調整を検討するのがよい」と語った。