ECBの追加緩和を注目

今週の為替市場は、10日に開催されるECB理事会での追加緩和策を
注目する展開が予想されます。

先週末発表された米雇用統計は、非農業部門の新規雇用増が事前予想を
大きく上回る24万人超となったことで、ドル買いが先行しましたが、
時間当たり賃金が予想を下回ったことから、ドルの上値では着実に
ドル売りが入り、113円台後半で取引を終えました。

今までは、非農業部門の新規雇用者の帰趨が大きな材料と
なってきましたが、米雇用統計が回復傾向が明らかになっている中で、
細かい数字が気になる動きとなっているようです。

この中、今週は10日に、欧州中央銀行(ECB)が理事会を開きます。

ドラギ総裁や、ECB高官の発言を見ても、
追加緩和は間違いないようです。

どのような形の追加緩和を行うのか否かが、
大きな材料となりそうです。

これに対し、米国では来週開催されるFOMCでは、利上げは
行われないとの見方が大勢を占めています。

欧州が緩和、米国が利上げとなれば、ユーロドルを中心に
ドル買いが強まる動きが予想されますが、欧州は緩和、
米国は据え置きとなると、ユーロ売りも限定的だと考えます。


ただ、理事会後のドラギ総裁の記者会見で、ユーロ圏の
景気の先行き、金融政策の先行きをどのように見ているのかが
明らかになった場合、予想外に慎重な見方が強まっていると
見られると、ユーロ売り圧力が出てくる可能性が出てきます。

ユーロ圏やECBは、これまでユーロ圏は日本のようなデフレには
陥らないと強弁していましたが、実際には、深く静かにデフレが
潜航していたことが明らかになっています。

今となっては、なりふり構わず、デフレからの脱却を
目指す金融政策に転換しているわけで、
ユーロの動きに関心が強まることになりそうです。

この中、欧州では英国でのEUからの離脱に伴う
国民投票の行方にも注目が集まります。

政権党の重鎮からも、EU離脱に賛意示す声も聞かれるなど、
英国のEU離脱の可能性がゼロではないことは事実だと思います。

英国がEUから離脱した場合は、英国はもちろん、ユーロ圏に
とっても大きな材料になる可能性があります。

欧州をめぐる材料は、ユーロ売りにつながりかねない
ものになると考えています。

このため、今週はドルの戻りの強さを確認しながら、
ドルの上値が重いとなれば、再びドル売りに弾みが
つく可能性があると思います。

予想レンジは、
ドル円が110.20〜115.20円、
ユーロ円が122.20〜127.20円、
英ポンド円が156.20〜163.20円、
ドル円が79.20〜86.20円。