ドル安・円高の流れは変わらず
今週の為替相場は、ドル安・円高の
流れが継続する展開が予想されます。
前週発表された日米の金融政策は
どちらも据え置きということになりました。
どちらも変化はなかったのですが、
事前には米国は据え置き、日本は
追加緩和の可能性があるとの見方が
支配的でした。
結果として、米国は予想通り、日本は
予想外の展開となり、この結果、為替市場では、
円買い・ドル売りが強まったわけです。
米国は、当初、次回の利上げは6月との見方が
支配的でしたが、FOMCを受けて、次回の利上げは
9月になるのではないか、との読みが広がっています。
一方、日本は追加緩和の可能性は6月との読みが
聞かれていますが、半年ほどのタイムラグを
読む声も出ており、次回の追加緩和は9月との見方が
出始めています。
また、先のG7で、通貨安競争を回避することで
一致したこともあり、日本は追加緩和を行うことで、
通貨安競争を仕掛けているとみられたくない事情が
あります。
また、5月の伊勢・志摩サミットを控えていることで、
日本が通貨安に誘導していると各国に見られたくない、
そんな事情もあるようです。
となると、日銀としては、この大きな行事を前にして、
円安を誘う、追加緩和を行えない、そんな事情も
あったようです。
ただ、市場は、米国の利上げ見送りは想定の
範囲内でしたが、日本の追加金融緩和見送りは
想定外の動きだったようです。
この結果、日銀が政策金利の据え置きを発表すると、
為替市場では一気に円買いが強まり、ドル円は
一時107円台後半、対ユーロでは122円台後半に
円が急騰しました。
株式市場でも、日銀の追加緩和は織り込み済みだったようで、
株価が大きく下落しました。
市場が、日銀の追加緩和に傾いていた分、
為替相場、株価が大きく動いたわけです。
今週は、この流れを継いで円高の
流れは変わりないと思います。
特に、今週は日本がゴールデンウィークに
入ることで、日本勢の取引は細ることが
予想されます。
日本勢の動きが鈍い中で、海外勢の思惑的な
動きが強まり、為替相場が大きく動くことは
何度も経験しています。
日本勢にとって、困ることは何なのか、
これまでの経験則からは、円高が極端に
進むことに対する備えが日本勢は
出来ていないようです。
何度もそうした動きを経験しているのですが、
結局、円高に後れをとって、損切の円買戻しが
持ち込まれて、円をさらに押し上げることを
日本勢は何度も繰り返しています。
海外勢は、円高・円安どちらに動いても、
収益が上がれば良いので、日本勢が困ることを
今回も仕掛けてくると思います。
日銀も、日本政府も、円高に弾みがついても、
それを力付くで止めることは難しいと思います。
伊勢・志摩サミットを成功裡に終えたいという、
安倍首相の思惑もあって、円が急伸しても、
口先介入にとどまるような感じがします。
それも円が一気に対ドルで105円を上回るような
動きを見せたときに、基地先介入が出るのだと思います。
実際に、円売り・ドル買い介入が行われる可能性は、
一気に100円を突破するような動きにならない限り、
難しいのではないかとみています。
安倍首相の為替に対する発言等々を見ても、
介入は見送る可能性が大きいと思います。
ただ、市場は、試行錯誤の動きを
高めるものと思います。
プラザ合意直後に、ドル安・円高を、
各国が華々しく宣言した時も、為替市場は
当初は、恐る恐るドル売り・円買いを
持ち込んだにすぎませんでした。
結局、当時の竹下蔵相発言や当局の
口先介入などで、ドル売り・円買いを
持ち込んだら、あっけなく120円を
超えるドル安・円高水準が達成できた
という感じでした。
今回は、そこまでの勢いはないと思います。
ただ、今の円の水準は、円安過ぎるとの指摘も
聞かれており、日本人なお感覚で見ている100円、
90円という壁は、海外の市場参加者には少ないのかも
しれません。
とはいえ、日本人には、円安志向が
多くあることや、先行きの金利差を
考えたら、ドル買い・円売りが正当との
見方があるために、円買いが止まると、
着実に円売りを持ち込んでくる可能性が
少なくないと思います。
これが、壁になって、海外勢もしっかり収益を
確保して、また、円買い材料を探しながら、
日本勢のロスカットを狙う、円買いを仕掛ける
展開が続くと思います。
政治的隙間が日本にあるため、為替市場では、
案外意外なドラマが生まれる可能性があると
考えています。
こうした動きを睨みながら、ゴールデンウィークを
過ごしていくのではないかと思います。
予想レンジは、
ドル円が104.20〜110.20円、
ユーロ円が118.20〜125.20円、
英ポンド円が154.20〜160.20円、
豪ドル円が77.20〜84.20円。
