ドル支えは、利上げだけ

今週の為替相場は、ドル売り材料を
意識する動きが予想されます。

前週末発表された米雇用統計は非農業部門の
新規雇用者が16万人増と、20万人を下回ったことで、
雇用部門の弱さが目立ちました。

失業率は、5.0%と前回と変わらなかったものの、
新規雇用の伸び悩みは先行きの雇用統計に
懸念を生じさせるものでした。

新規雇用が増加したことで米国の雇用統計が
着実に回復したとして、FRBが利上げを
決断しただけに、新規雇用の伸び悩みは
利上げの継続を占う材料にもなりそうです。

ただ、地区連銀総裁やFRB当局者も、利上げにいて、
今後年2回の利上げを意識する声が出ており、
為替相場はそうした発言を受けて、ドルを
買い戻す動きを強めています。

実際、先週の雇用統計発表直後にはドルが
売られる動きが見られましたが、米金融当局者が
今後の年2回の利上げについて言及すると、
ドルが買い戻される動きも見られました。

今のドルにとって、利上げに
言及されることが買い材料になっているようです。

経済指標は、先行きの米経済について、
必ずしも楽観的な見通しが出るようなものが
続かないことも、先進各国との金利差が広がる、
利上げが行われることがドルを買える材料に
なっているようです。

また、これからは秋の大統領選挙に向けて
様々な発言が出て、金融市場に影響を
与えるものと思います。

特に、共和党の大統領候補としてトランプ氏が
最有力となってきたことで、トランプ氏の発言が
金融市場を揺るがすものになりそうです。

世界のリーダーとして、米国がその地位を
降りようとするトランプ氏のこれまでの発言が、
米国の地位の低下に繋がれば、ドルも魅力の
ある通貨とは言えなくなります。

もちろん、米国株も、米国債も、
安心な投資先とはならなく恐れがあります。

そうしたことを敏感に示すのが為替相場です。

これまでのように経済的要因、政治的要因、
軍事的要因等を睨みながら、為替相場
動いてきましたが、秋の米大統領選挙までは、
トランプ氏の発言が大きな材料になる予感が
してきました。

世界の中で、米国の地位が低下する可能性が
強い中で、トランプ氏の発言で、ドルが坂道を
転げ落ちるような動きを見せるのか否か、
注目したいと思います。

また、ドルがこのような状況の中で、
特異な動きをし始める予兆が出ていますが、
ユーロも、英ポンドも、豪ドルも、
それぞれの要因で自立的な動きを
見せ始めてきました。

こうした動きが強まると、円はそれぞれの材料で
翻弄されてしまう、そんな見方も出来ると思います。

ドルは、利上げの時期がいつになるの、ユーロ、
英ポンドは、英国がEUからの離脱に踏み切るのか否か、
豪ドルは追加利下げがどのタイミングで行われるのか等々、
為替市場、金融市場を巡る材料は目白押しとなりそうです。

今まで以上に、一つ一つの材料を
見極める眼力を鍛えたいと考えています。

予想レンジは、
ドル円が103.20〜109.20円、
ユーロ円が116.20〜124.20円、
英ポンド円が148.20〜156.20円、
ドル円が74.20〜80.20円。