為替相場、波乱含みの動きを継続か

今週の為替相場は、
波乱含みの動きを継続か。

円高が進展する中で、日米金融政策の
据え置きとなったことから、円高
さらに進む中で、英国のEU離脱を問う
国民投票で、離脱派が優勢との世論調査結果が
流れると、さらなるリスク回避の動きが強まり、
ドル安・円高、欧州通貨安・円高が進展しました。

円高が進んだことで、日本は何らかの円高阻止策を
とるのではないかとの見方が広がっていました。

追加緩和策が円高阻止策になるのではないかと
みられていたのに、日銀があっさり金融政策の
現状維持を決めたことで、市場は円の上値めどを
探る動きが強まったのです。

また、英国のEU離脱を問う国民投票も、当初から
大きな材料になっていたのですが、ここにきて、
離脱派が優勢との見方が広がったことで、
リスク回避の動きが強まったのです。

しかし、英国では残留派の下院議員が殺害されたことで、
残留派に有利になるのではないか、との見方も出て、
為替市場ではやや落ち着いた動きとなっています。

とはいえ、残留派の下院議員が殺害されたことで、
EU離脱派、残留派ともに運動を停止している状況で、
後れを取っている残留派が運動できないことは
痛手との指摘も聞かれており、英国の国民投票
行方は混沌としてきました。

英国がEUから離脱した場合、経済的な衝撃はもちろん、
政治的、社会的な混乱も生じる可能性も強く、
その動きは想像することは難しいと思います。

また、EUからの離脱は英国だけではないとの
指摘もされており、他のEU加盟国、さらには
ユーロ圏からの離脱があるとすると、この夏の
大きな材料になると考えます。

これまで、何とかEUの協調、ユーロ圏の拡大に
向けて努力してきましたが、英国の離脱が
本物になると、これまで積み上げてきたものが
大きく崩れる可能性が強まっています。

それでも、英国はEUの束縛を離れるのか、
大きな賭けと思います。

一方、日米の金融政策は、この英国問題が
大きな材料になっています。

米国も、日本も、英国の決定が出るまでは、
金融政策を動かさない、そんなことを
決めていたようです。

だから、米国は雇用統計の軟調な動きも
あったのですが、6月の利上げを回避したのです。

ただ、7月の利上げについては
その可能性はあると指摘されています。

英国がEU残留となれば、金融市場の動揺は
抑えられるとみて、7月の利上げの可能性を
留保したわけです。

雇用統計は予想を大幅に下回ったものの、
その他の経済指標は底堅い米国経済の成長を
示しているので、7月の利上げの可能性はあると
市場に見せているのです。

これに対し、日本は、万が一、英国がEUから
離脱した場合には、金融市場の動揺に対応するため、
緊急対策を行う意向だと考えています。

為替介入はもちろん、追加緩和、ドル資金供給等々、
あらゆる金融政策を動員して、世界の金融市場の
混乱を回避する姿勢を保持していると考えます。

この場合、ドル円が100円を超える円高になっても、
それは放置して、世界の金融市場の安定に軸足を
置く可能性が高いと思います。

今年最大の材料が、あと1週間で始まります。

予想レンジは、
ドル円が99.20〜106.20円、
ユーロ円が112.20〜119.20円、
英ポンド円が140.20〜150.20円、
ドル円が72.20〜80.20円。