英国離脱の第一波はこなしたが

今週の為替相場は、EUからの英国離脱を受けた衝撃の第一波を
こなしましたが、英国経済、EU経済、日本経済、米国経済、
さらに世界経済に与える影響を確認する動きが強まるものと
思います。

EUからの英国の離脱に足して、市場は、
当初は、残留するとの見方を強めていました。

残留を主張する英下院議員が殺害されたことで、
同情票が加わって、残留が多数派を占めるとの見方が
出ていました。

市場は、残留に比重を置いて、取引を強めていたわけで、
逆の結果になったことで、市場の動揺は一段と強まりました。

ドル円は一時99.00円と、100円を一気に超える円高となりました。

ユーロ、英ポンドも、対円、対米ドルで大きく値を下げました。

つまり、円高だけが進んでいたわけではないのです。

米ドル高、円高が進み、結果的にドル円では円高が進んだわけです。

105円を超える円高に進んだべ面では、米国が利上げを見送り、
足元の利上げ観測が後退し、同時に日銀が金融緩和を
見送ったことが大きな要因になりました。

その後、じりじりと円高が進んだ背景には、英国がEUから
離脱するのではないかとの見方がありました。

欧州発の金融危機の可能性がリスク回避の
円買いという形で表れたのです。

しかし、実際に英国がEUから離脱を決めると、円は対ドルで
一気に99.00円まで上昇、その後は荒い動きを示しながら、
102円台前半で推移したわけです。

えいこくのEUからの離脱を受けて、ドル円では102円台が
とりあえずの落ち着きどころとなったわけです。

円は対英ポンドでは一時144円台央に上昇、
その後は139円台前半で推移しています。

対ユーロでは一時109円台前半に上昇、
その後は113円台前半で推移しているわけです。

EUからの英国離脱の衝撃で、大幅な上昇を見せたものの、
その後の落ち着いた水準を見ると、スピードはやや速いものの、
ドル円で見て、105円、103円、そして102円台と、
それぞれの材料に合わせて、着実に円が買い進まれた
という感じがします。

確かに、一気に99円台に上昇した場面はパニックとしか
言えませんでしたが、落ち着きどころは納得のできる
水準となっています。

日本サイドは、介入を示唆する姿勢を見せていますが、
ドル高が進んでいると状況を考えると、円売り介入に
対する米国の理解は得られないと考えます。

G7声明にあったように、為替相場の乱高下というよりは、
英国、EU、世界の流動性を確保することで、G7が
一致するということが大事なような気がします。

不足するとみられるドル資金を各国中銀が確保し、
貸し出しを行うということが今は大事なのではないでしょうか。

また、今後、EUからの離脱を唱える声が強まると思いますが、
こうした声に対して、EU加盟国は何らかの措置をとる努力が
必要になると思います。

英国は共通通貨ユーロにも参加しておらず、ある意味、
EUの異端児であっただけに、EU離脱はある程度は
理解できると考えます。

しかし、今、EU離脱の声が出ている国々は、
ユーロ圏内の国々です。

その衝撃は、英国離脱の比ではないと思います。

こうした声が、今後強まり、EU崩壊の観測が流れるなど、
思惑が強まれば、それだけで金融市場は乱高下を
繰り返すことになりそうです。

大きな材料が出尽くしたものの、英国首脳と
EU首脳の発言の違いなどが、市場に材料視される
可能性は強く、今後も欧州発の材料を注目したいと
思います。

まだまだ為替相場は安定したとは
言えないことには十分に留意したいと思います。

予想レンジは、
ドル円が96.20〜103.20円、
ユーロ円が108.20〜115.20円、
英ポンド円が133.20〜141.20円、
ドル円が70.20〜78.20円。