相対的な円高継続か

今週の為替相場は、相対的な円高
継続する展開が予想されます。

前週末発表された米雇用統計では、
非農業部門の新規雇用者は28.7万人増と、
市場の事前予想を大幅に上回り、ドルは
対円で一時101.30円付近まで上昇しました。

しかし、前月分の新規雇用増が3.8万人増から
1.1万人増に下方修正されてことや、時間当たり賃金が
前月0.1%増にとどまったことなどを材料に、
米利上げの可能性が遠のいたとの見方が広がり、
ドルは対円で一時99円台に下落する動きを
見せました。

結局、100円付近で取引を終えましたが、
米国の利上げは年内は難しいとの読みが聞かれるなど、
先行きのドル上昇を予想する声は少ない状態です。

一方、欧州では引き続き、EUから離脱する
国民投票が可決された英国の動きが注目されています。

今週は、イングランド銀行政策金利
決定する会合を開催します。

先に、カーニー総裁は、英国のEUからの離脱を受けて、
夏にも金融緩和を行うとの発言を行っており、
今回の会合で、金融緩和が決定される可能性も
浮上しています。

英国の経済指標も、EUからの離脱を
反映したものは軟調なものとなってきました。

こうした動きを金融緩和で和らげたいとの思いも
あるようで、市場は金融緩和を意識して、
ポンド売りを意識する向きも少なくない
との見方も広がっています。

また、EUも、英国の離脱から
経済の悪化が予想されています。

英国ショックは、時間の経過が経つにつれ、
大きなものになる可能性が強まっており、
ECBの金融政策も緩和的なものになる可能性が
出ています。

さらに、イタリアでは、金融機関の
経営危機が浮上していきました。

これが欧州域内全体に悪影響を
与える可能性が強まっています。

日本自身にも、景気の先行きに
対する懸念が広がっています。

英国の進出した日本企業は多く、
英国のEU離脱に対してどのような
対応をとるのか、関心が集まっています。

今、日本は参議院選挙、都知事選など、
政治の季節に入っていることで、
経済的な対応が遅れがちになることも
予想されます。

また、バングラデシュダッカで起きた、
人質殺害事件で、日本の中に海外に対する
委縮状態が広がっています。

まだ、国内に対する委縮は起きていないと
思いますが、海外に行けば日本人は狙われる、
そんな思いが強まっているような感じがします。

この中、米国では黒人と白人の
対立が強く意識されています。

白人警官による黒人の殺害、黒人による
白人警官の殺害という、古くて新しい問題、
憎悪が強まっています。

米国に進出している企業にとっても、
こうした対立が意識される動きとなってきました。

さらに米国では今年、大統領選挙を控えており、
白人と黒人の対立を煽るようなメッセージが
出てくるような予感がします。

白人と黒人の対立が煽られれば、
ドルに対する信認の問題が浮上すると思います。

このように、欧州、米国自体の問題が
意識されていることで、相対評価
円を買うという動きがまだまだ続きそうな
感じがします。

90円台に足を踏み入れた程度では、
日本は円売り介入はできないと考えています。

予想レンジは、
ドル円が96.20〜103.20円、
ユーロ円が106.20〜113.20円、
英ポンド円が126.20〜133.20円、
ドル円が71.20〜78.20円。