ルー米財務長官、「G20、経済危機時のような協調対応は不要

ルー米財務長官は21日、英国の欧州連合EU)離脱決定により
世界経済の減速が見込まれるが、20カ国・地域(G20)が
2008〜2009年の経済危機の際に打ち出したような国際協調による
大規模な刺激策は現時点では必要ないとの考えを示した。

G20財務相中央銀行総裁会議が開かれる
中国・成都への出発前、アテネで記者団に語った。

同長官は、G20各国はそれぞれの事情を踏まえて、
適切な成長支援策を講じる必要があるとし、
それには財政・金融面の措置や、効率性の向上に
向けた構造改革などが含まれるとの認識を示した。

また、同長官は「2008〜2009年のグレート・リセッションで
取ったような協調行動の類いが必要な局面だとは思わない」と
指摘し、その上で「今は警戒が肝心な時だ。成長が軟調になれば
それを押し上げ、中長期の見通しが上向くよう、それぞれが
できることをすべきだ」と語った。

さらに、一部の国が緊縮に傾いていた過去3年間とは違い、
G20諸国は今や成長押し上げを重視していると指摘した。

その上で、「3年前には成長と緊縮のどちらを選ぶかが
活発に議論された。現在では緊縮論は影をひそめ、
いかに効率的な成長を達成するかが重要と考えられている」
と述べた。

一方、英国とEUの離脱協議については、「英国と欧州の統合を
最大化するような」合意が最良の結末だと強調し、協議には数週間、
数カ月以上かかる可能性があるとし、交渉が「統合と協調の最大化に
向けた友好的かつ現実的」なものになることを望んでいると述べた。