ドル買い、105円が壁か

今週の為替相場は、ドルの上値の
重さを意識する展開が予想されます。

12月の米FOMCでの利上げ観測が一段と
強まる中で、ドルが底堅く推移しました。

104円台にドルは上昇し、105円を窺う
動きも見られました。

しかし、104円台に入ると日本勢のドル売りも見られ、
ドルの上値の重さが認識される展開となっています。

市場の材料としては、米国の利上げ観測の一段の広がり、
原油価格の上昇など、ドルにとっては好材料が並んでいました。

それでも、105円を超えてドルが買い進まれない
動きが継続しています。

ドルを買い上げにくい理由があるのだと思います。

大きな材料は、米国の利上げという状況が、
年初来続いているのですが、実際に利上げが
実施されないことが、本格的なドル買いに
結び付かない流れとなっているようです。

また、注目される米国の大統領選挙は、
終盤に来て、クリントン氏がトランプ氏を
リードしています。

トランプ氏が大統領として有力となると、
その発言等から世界政治の不透明感が
強まる可能性が強いと考えられています。

ドルにとっては弱材料として意識されてしまうわけです。

しかし、クリントン氏のリードが続いているわけで、
ドルにとっては不透明な材料にはなっていない思います。

どんな形で105円を超えるドル買いが
見られるのか、注目したいと思います。

この中、日本では追加緩和に対する期待感が
あるようですが、足下ではその可能性は少ないようです。

現状では、政府は追加緩和の期待はあるものの、
日銀はその可能性について否定的です。

今行うのは、追加緩和ではなく、政府が
次の一手を打つべきだと考えている節が窺えます。

これまでは、円高になると金融緩和をすることが
当然との声が出ていましたが、まずは政府として
行うべき策があるだろうと見られています。

政府の圧力にどこまで日銀が耐えらるが否か、
注目されます。

このような材料をこなしながら、105円の壁が
どこまで強固かを見極める動きを想定しています。

この中、注目しているの欧州通貨の動きです。

EU離脱を決めて、不安定な動きを続けていた
英ポンドはやや落ち着きを見せています。

依然として、下値不安はあるのですが、
微妙な落ち着きを見せています。

不安なのはユーロです。

ECBは、経済指標が底堅く推移していることや
デフレ懸念も遠退いたとして、追加緩和の
見送りを決めました。

金融緩和の弊害を理解している分、余計な緩和を
行わない、そんな姿勢を見せているのだと思います。

ただ、ドイツの金融機関の経営問題等、欧州が
内在する問題がいつ表面化してもおかしくないと思います。

そういう視点で見ると、ユーロの最近の軟調な動きは
何を意味しているのか、良く考える必要があるのでは
ないかと考えます。

予想レンジは、
ドル円が98.20〜105.20円、
ユーロ円が108.20〜115.20円、
英ポンド円が122.20〜129.20円、
ドル円が73.20〜80.20円。