ドル上昇も限定的か

今週の為替相場は、ドルが上値を窺う動きが
予想されますが、ドルの上値も限定的だと
みています。

ドル円相場は、100円トビ台前半での小動きが
続いていましたが、12月の米FOMCでの利上げが
強まったとの見方が広がる中で、これまでドルの
上値めどとなっていた104円台を超えて、105円台に
上昇する動きを見せました。

米国の利上げについては、これまでもその憶測が
強まるたびに、ドルは105円に接近する動きが
見られましたが、過去3カ月では、なかなか105円に
届かない動きを見せていました。

しかし、今回は米国の長期金利が12月の利上げを
想定して上昇したことで、市場では11月の利上げの
可能性は乏しいとの見方が強いものの、12月には
利上げが実施されるとの読みが強まり、これまでの
壁とみられていた105円にあっさり乗せ、105円台に
ドルが上昇しました。

ただ、ドルの上値は重く、105円台ではドルの上昇は
緩やかなものとなっています。

今週は11月1日に日銀が金融政策決定会合を開催し、
2日にはFRBFOMCを開催します。

日本はこれまでの金融政策決定会合では、追加緩和が
大きな材料になっていましたが、今回はさすがに追加緩和の
可能性は少ないのではないのか、という見方が強まっています。

黒田日銀総裁が、次は財政策の出番であることを
言明したことが、日銀の金融緩和だけでアベノミクス
支えきれないことが明らかになったことで、追加緩和の
可能性は乏しくなったとの声が支配的となっています。

市場は、黒田発言が出て以降、円を支える材料になっていました。

これまでは、米国の利上げ、日本の金融緩和と正反対の
金融政策を睨んだ動きとなりましたが、米国の利上げは
織り込み過ぎていたとの読みがあったことで、米国の
利上げが観測にとどまっている中では、ドル買いには
つながりにくい動きを見せていました。

しかし、今回は12月に米国が利上げする確度が強まったことで、
観測から一段上昇、ドル買いにつながっているとみられているわけです。

問題はドルをどこまで買えるのか、この一点にかかっていると思います。

今回のドル買いが110円台に乗せるような勢いがあるのか、
108円程度がドルの上値に終わるのか、あるいは105円台が
ドルのトップとなってしまうのか、実際に米国が利上げに
踏み切るまでの間、市場は不安定な動きを続けるのではないか
とみています。

市場が不安定になる要因は、欧州の金融機関の経営問題です。

ドイツやイタリアの金融機関の経営問題が重くのしかかっています。

万が一の事態となれば、米国の利上げに伴う
ドル買いは吹き飛んでしまう恐れが強いとみています。

逆に、11月は利上げが実施されないとみられている
米国の利上げが実施された場合には、一気に108円程度まで
ドルが急伸する可能性は強いと考えています。

大統領選挙直前の利上げという、想像を絶する事態が
起これば、ドルにとっては大きなフォローの風が吹くと思います。

また、今週、来週は米大統領選挙の最終盤となります。

現状では、クリントン候補がトランプ候補を引き離していますが、
大統領選挙の行方次第では、金融市場に波乱が起きる可能性にも
備えておきたいと思います。

不透明材料が少なくないだけに、ドルを一本調子に
買い上げる動きは少ないとみています。

予想レンジは、
ドル円が98.20〜106.20円、
ユーロ円が108.20〜116.20円、
英ポンド円が122.20〜130.20円、
ドル円が74.20〜82.20円。