ドル、上値メドを意識する展開へ

今週の為替相場は、ドルの上値メドを
意識する展開が予想されます。

トランプショックを受けて、ドル高、株高、
長期金利上昇が進んだ動きは継続することが予想されます。

トランプ氏の政策を実行していくと、ドル高、
長期金利上昇は避けられず、株価も好調な雇用や
経済の堅調な動きから上昇傾向を速めており、
この流れは変わらないと思います。

米国の年末商戦は、好調になることも予想されており、
こうしたこともドル高、株高、長期金利上昇を促す
材料になると考えれます。

今の状況は、トランプ氏にとって、好ましい状況のようで、
ドル高を止めるような発言は出てきにくいと思います。

むしろ、新興市場国などから、ドル高のスピードが
速すぎることに対して懸念が出ていますが、
米国には関係ない、そんな姿勢がトランプ氏サイドから
窺えており、市場が恐る恐るドル買いを進めていた経緯が
あるだけに、ドルの上昇余地はまだあると考えています。

一気に120円を窺うとは考えにくいのですが、
115円は通過点とみられると思います。

この中、欧州でも、ドル高の進行に対する懸念発言はなく、
むしろ、欧州域内の経済状況、金融機関の経営問題、
EUからの英国の離脱問題などに対する関心が強いものと思います。

懸念されていた英国のEUからの離脱問題は、当初は
大きな材料になるとみられ、各国とも緊張感をもって、
その進展に関心が集まっていましたが、その後は
落ち着きを取り戻している状態です。

ただ、英国のEU離脱のスケジュールが決まれば、
様々な問題が意識されると思われ、その場合には
金融市場が動揺する可能性が出てくると思います。

年末相場が意識される中で、その先駆けが
出てくるようなら、欧州発の問題が浮上するかも
しれません。

この中、日本は、国内サイドからの
懸念材料は少ないと思います。

トランプ氏との会談で肩透かしを食らった格好の
安倍首相に対する責任問題が出てくるとは思えません。

野党は、安倍首相を批判していますが、国会で
圧倒的多数を占める与党がそんな批判を吹き飛ばす
ことになるとみています。

そうした圧倒的多数の与党で、特に自民党議員から
緩んだ発言が出て、国会が停滞する動きも見られますが、
これも、数の力で採決を続けて、国会運営は淡々と
与党ペースで進むものとみています。

ちょっと心配なのは韓国情勢です。

大統領の弾劾に向けて、与野党の足並みが
揃いつつある中で、北朝鮮が挑発行動を
行うことがないとは思えません。

韓国に対して、北朝鮮の挑発が重要事態に
なる場合には、円にとっては大きな売り材料に
なる可能性があることには注意が必要です。

その場合には、ドル円で一気に120円を超える
ドル高が起きる可能性があることには気を
付けたいと思います。

ただ、ドル円で見れば、110円を超えて、113円台まで
一気に進んだ感もあることで、115円を超えるには
それなりの材料が必要になるのではないかとみています。

115円の場面で、もみ合う可能性が予想されます。

これを超えた場合には、118円が大きな壁となると
みており、突発的な材料が出ない限りは、
120円乗せは難しいと考えています。

また、各国当局者から、円安の進展について、
「物言い」がつかない限り、円安は容認された、
そんな見方が広がる可能性があると思います。

日本にとって、円安・株高が堅持できるわけで、
経済面では安心できる状況になっているのだと思います。

日本としては、円安に誘導しているなどの批判が
海外から出ないように願いながら、円安・株高を
享受する動きが継続すると思います。

年末のこの時期に、日本としては何もしていない中で、
有利な状況を維持できる「千載一遇」のチャンスだと思います。

予想レンジは、
ドル円が108.20〜116.20円、
ユーロ円が116.20〜124.20円、
英ポンド円が138.20〜146.20円、
ドル円が78.20〜86.20円。