米控訴裁、政府側の訴え退け―ビザ無効措置も撤回

米政府がイスラム圏7カ国出身者の入国を一時的に停止した措置に
連邦地裁が差し止めを命じた問題で、司法省は4日、地裁命令の
効力の即時停止を上級審の控訴裁判所に訴えました。

控訴裁は同日付で、これを退ける判断を下しました。

これにより、7カ国出身者の入国は当面、
禁止されないことになりました。

トランプ氏の大統領令に対しては、「違憲だ」とする
ワシントン、ミネソタ両州の提訴を受け、ワシントン州シアトルの
連邦地裁が3日、全米を対象に差し止めを命令しました。

控訴裁は5日以降、2州と連邦政府の双方から
改めて意見を聴いた上で、最終判断を下します。

1月27日の大統領令は、テロ対策の一環として、イラン、
イラクリビアソマリアスーダン、シリア、イエメンの
出身者を一時入国禁止とし、シリア難民の受け入れを停止しました。

連邦地裁は、大統領令を放置すれば取り返しのつかない損害が
発生すると判断し、差し止めを命じていました。

これに対し、トランプ氏は4日、ツイッターで「1人の判事によって
入国禁止が解除されたため、多くの悪人や危険人物が、われわれの
国に流入してくるかもしれない。ひどい判断だ」と、地裁の決定を
非難していました。

一方、地裁命令を受け、国務省は4日、7カ国出身者の米国ビザ
(査証)を一時無効にした措置を「撤回する」と発表しました。

国土安全保障省も7カ国の出身者に対し、通常の基準に基づいて
入管業務を再開する方針を明らかにしました。

航空各社は同日、入国禁止とされていた
人々の搭乗を再開しました。

東部ボストンの国際空港などでは入国を果たした
7カ国出身者の姿が見られました。