ドル、上値の重い展開か

今週の為替相場は、ドルの上値が重い展開が予想されます。

注目を集めていた、米雇用統計では、非農業部門の新規雇用者の
増加が市場の事前予想を下回ったことで、今年下期の米国の
利上げについて見直しされる可能性が浮上しています。

市場では、6月の利上げの確度は90%を上回るとみていますが、
今年後半に行われる利上げについては、今後の雇用統計の
発表などが影響を与えるのではないかとみています。

また、トランプ米大統領がパリ協定からの離脱を表明しましたが、
これに対して国際的な非難はもちろん、国内からも批判が出ています。

米国がおあり協定から離脱することは、以前からトランプ大統領
表明していましたが、実際に表明されると、その非難は強いものが
ありました。

さらに、国内の企業首脳からの批判は予想を上回るものとなっています。

加えて、全米の多くの市長からもパリ協定からの離脱に反対する声が
出るなど、トランプ大統領は四面楚歌の状態です。

一部では、パリ協定から離脱することで、ロシアゲート疑惑を隠す意図が
あるのではないかとの声が上がるなど、トランプ大統領の戦略的な行動だと
指摘する声も上がるなど、トランプ政権に対する批判的な声が
さらに強まっています。

この中、米国の6月の利上げについての見方が一段と強まっていますが、
ドルの上昇は限定的です。

市場では、実際に利上げが実施された場合でも、利上げを受けた
ドル買いは限定的で、むしろ、材料出尽くし感からドルが売られる
可能性を指摘する声が上がっています。

為替市場は、今はドル売りの材料を探している状態で、トランプ政権の
弱点を見つけて、それを材料にドルを売る姿勢を強めるのではないかと
みています。

その場合、ドル売りは119円が大きな壁になるとみていません。

むしろ、110円がドル買いの大きな壁になることも想定する必要が
ありそうです。

今すぐにとは思いませんが、米国が利上げを決めた後に、
そのような状況になる可能性が出てくるのではないかとみています。

この中、英国ではテロが続いています。

さらに、英国では総選挙での保守党の退潮が伝えられています。

当初は圧倒的な強さで保守党が勝利するとの見方が出て、
これが英ポンド買いにつながっていました、

しかし、ここにきて保守党の退潮が伝えられたことで、
英ポンドが下落に転じるなど、為替相場には英保守党の
退潮は大きな材料になっています。

また、英国でのテロが続いていることで、欧州でもテロの
恐怖が強まっています。

今週は、ECBの理事会が開催されますが、金融政策は据え置きが
予想されており、これが為替相場に大きな影響を与えるものに
なるとは考えにくいと思います。

しかし、テロに対する恐怖やパリ協定から米国が離脱を
表明したことで、トランプ大統領に対する批判がさらに
強まる可能性もあります。

こうした先進国間での意見の不一致が、為替相場に影響を
与える可能性はあると思います。

結果的にリスク回避の動きが強まり、その場合には、円と
スイスフランが逃避通貨として上昇する可能性があると考えています。

忘れてはいけないのは北朝鮮の動きです。

毎週のように繰り返しているミサイル発射が、今週も
行われるのか否か、引き続き注視したいと思います。

日本の領海内に着弾するようなら、北朝鮮を巡る緊張は
一段と高まると考えています。

予想レンジは、ドル円が108.20〜113.20円、
ユーロ円が120.20〜126.20円、
英ポンド円が138.20〜144.20円、
ドル円が78.20〜84.20円。