ドル、上値の重い展開か

今週の為替相場は、ドルの上値の重い展開が
予想されます。

米国では、物価指標が低迷を続ける中で、年内の
利上げについて懐疑的な見方が浮上しています。

FRB高官も、利上げについて慎重な姿勢を示しています。

また、今週は米雇用統計の発表があります。

非農業部門の新規雇用者は、20万人割れを想定する声が
出ており、堅調とみられている雇用統計も、万全ではない
と思われます。

雇用統計が順調に回復していたことが、米経済の力強さを
印象付けている感があるので、雇用統計に不透明感が広がると、
また米経済に対する懸念が台頭する可能性もあります。

とはいえ、現状では米雇用統計は底堅い動きを見せており、
月によって浮き沈みはあるものの、以前の雇用状況の悪化とは
全く違う様相であることは間違いありません。

米雇用統計は底堅い、そんな評価が普遍的であるので、
米雇用の不振を材料にした金融市場の不透明感は
出てこないと考えます。

しかし、金融市場は、一つの材料で過敏に反応するのが
常なので、米国の軽座指標で一喜一憂する動きは当面は
継続すると思います。

米経済が堅調である、FRBは利上げ速度を引き上げよう
としている、そんな動きからドルが堅調な動きを
見せていましたが、ここにきて、利上げに対して
慎重な見方がFRB内部から出ていることもあり、
雇用統計を中心にした経済指標の動向が、
利上げに対して大きな影響を与える可能性が
強いと考えます。

これに対し、欧州では超緩和策から引き締め政策への
転換が行われようとしています。

ECB高官も、金融引き締めに対して舵を取ろうとしています。

市場は敏感にECBの姿勢を見て、ユーロに触手を
伸ばしています。

大きなユーロ買いにはつながってはいませんが、
これまでのように、ドルの独り勝ちは明らかに
変化が出ています。

まだまだ欧州の経済動向や、英国のEUからの離脱など、
懸念材料は少なくないものの、利上げに向けて動き出した、
そんな見方が出ているようです。

この中、英国では利上げ目前との見方が出ていましたが、
ここにきて、利上げについて懐疑的な見方が広がっています。

EUからの離脱で、英国経済の不透明感が広がっていることが、
利上げ観測が遠のいた理由になっているようです。

この中、日本では安倍一強に大きな変化が出ています。

8月3日には内閣改造が予定されるなど、安倍政権が
追い詰められている感が出ています。

政治的な動きが金融市場に影響を与えることは
日本の場合は少なく、金融市場には大きな影響は
与えないと考えます。

とはいえ、低迷していた日本経済をけん引した
安倍政権が弱くなることで、日本経済に対する
悪影響があるのではないかとの読みも聞かれています。

内閣改造が株価などに与える影響は出てくるのでは
ないかと思われます。

それが為替相場にどのような影響を与えるのか注視したい
と思います。

予想レンジは、
ドル円が108.20〜113.20円、
ユーロ円が128.20〜133.20円、
英ポンド円が142.20〜147.20円、
ドル円が86.20〜91.20円。