薄商いの中、乱高下に注意

今週の為替相場は、大きな材料が見えない中で、
夏季休暇本番となる中で、基本的には動意の
乏しい動きが予想されます。

前週発表された米雇用統計では、非農業部門の
新規雇用が市場の事前予想の20万人割れから
20万人超の数字となったことや、平均時給が
上昇したことを材料に、年内の米利上げ観測が再燃し、
ドルは一時対円で111円台に上昇する動きが見られました。

その後は、ドルをさらに買い進める動きは見られずに、
110円台後半で取引を終えています。

為替市場が関心を寄せているのは、
米国の利上げの有無です。

このところ、ドルが軟調に推移しているのは、
米国の利上げの可能性が遠退いたのではないか
との見方が広がっていることが大きな要因です。

これまでは、米国の利上げは次の段階に進むとの
読みから、利上げ継続が強く意識され地ました。

特に、経済指標が堅調なことやFRB幹部からも、
利上げを阻止する要因はないとする強気の声が
聞かれていました。

しかし、物価指標が鈍いことなどから、利上げは
難しいのではないかとの声が聞かれ始めました。

利上げを推し進めると、日本の二の舞になる、
そんな見方が浮上する中で、年内の米利上げに
対して弱気の声も聞かれてきたのです。

ドルは、こうした見方に反応するように、
じりじりと軟調な動きを示していました。

さらに、欧州では、超緩和策の終了を
意識する声が浮上してきました。

欧州の経済に対する弱気の見方がなくなる中、
英国のEUからの離脱が及ぼす影響について、
ある程度の経済減速は織り込み済みとの声が
浮上する中で、EUも利上げの機運が高まってきた
ということです。

ECB高官も、利上げに転換することについて肯定的な
見方を示す中で、これまで対ドルで軟調な動きを
続けていたユーロが買い戻される動きを見せています。

市場は、米国の利上げが一服する可能性があるものの、
EUは利上げの姿勢を強めていくという、米欧の金利差を
睨んでユーロが上昇しているわけです。

ここで、米国で再び利上げ観測が強まってきましたが、
これまでのように、米国と欧州の金利差が拡大するという
動きではないとの見方も出来るわけで、金利差を
意識してもドル買い一辺倒ではないということです。

この中、米国ではトランプ大統領政権運営
対して懸念する声が出始めてきました。

次から次に、ホワイトハウスのスタッフを罷免する
トランプ大統領の手法に、政権運営に対する
懐疑的な見方が根強い状態です。

大きな材料が見つけにくい中で、こうした動きは
為替相場に影響を与える可能性が強いのではないか
と考えます。

また、北朝鮮情勢についても、北朝鮮が先鋭化している
こともあり、これがトランプ政権にどんな結論を出せるか、
関心はますます広がっていると思います。

日本では、安倍改造内閣が誕生しましたが、
これで為替相場が大きく動きような状況には
ならないと考えます。

引き続き、外部要因、外部環境の変化で
円は動かされる、そんな動きを想定しています。

予想レンジは、
ドル円が108.20〜113.20円、
ユーロ円が128.20〜133.20円、
英ポンド円が140.20〜146.20円、
ドル円が84.20〜89.20円。