トランプ米大統領発言の余波続くか

今週の為替相場は、トランプ米大統領
ドル高や金融政策に不満を表明した発言を
受けて、ドル売りの動きが強まった流れを
受けて、どの余波がどこまで続くか
注目されるものと思います。

トランプ大統領は、中国はもちろん、
欧州、日本に対しても貿易不均衡の是正を
求めて、過激な貿易政策を行おうと
しています。

中国だけでなく、友好国とみられていた
欧州や日本に対しても、関税を強化するなど、
貿易赤字の削減のために、これまで
開かれた貿易政策から一転、米国に
有利な貿易政策を発動している状況です。

もちろん、この米国の行動に対して、
世界各国は対抗措置を発動するなど、
米国対世界で、貿易戦争が強まっている
状態です。

トランプ大統領は、脅しをかければ、
米国の貿易赤字は削減すると考えて
いたのかもしれませんが、世界中が
米国からの輸入品に対して関税を
強化する策を提示するなど、
ビジネスのように、トランプ大統領
発言が意に沿わない形となっています。

このため、トランプ大統領はドル高を
標的にし始め、米国の貿易赤字
削減するためには、ドル安が必要で
あることを指摘し、同時にドル高を
導いている米国の高金利政策に
対しても批判の矢を向けました。

FRBに対しても、金利高政策に
不快感を示しているわけです。

もちろん、米国がトランプ大統領
唱える為替政策や金融政策に
賛成しているわけではなく、
財務長官はG20会合での記者会見で、
トランプ大統領の発言を否定する
立場を示しています。

しかし、これまでのトランプ大統領
発言、その結果を見ると、ドル安に
誘導する姿勢は本気なのではないか
との思惑が広がり、為替市場では
ドルが急落しています。

米国がいくら関税をかけても、
それだけで貿易赤字が減らないことは
明らかで、貿易赤字削減=ドル安誘導が
真実ではないかとの見方も出ています。

かつて、米国は双子の赤字を削減するために、
プラザ合意で先進7カ国と同意して、
強力なドル安誘導を行いました。

今回は、先進国の理解も得られないまま、
米国単独でのドル安誘導であるだけに、
その効果はどの程度なのか疑問ですが、
それでも市場は過去の動きを
覚えているので、ドル安の反応しやすい
思いがある可能性もあります。

また、先進7カ国は、ドル安誘導を
行うことで、関税強化などの貿易戦争が
緩む可能性も見ており、ある程度の
ドル安誘導には理解を示すことも
考えられます。

米政権は、必死になってトランプ大統領
暴走を抑えようとするのでしょうが、
最終的には先進7カ国とある程度の
水準で手を握る可能性もあります。

今週は、トランプ大統領の発言、
米政府関係者の発言、そして
先進7カ国の首脳の発言などを
注目していく展開が強まりそうです。

ドル円で見て、110円が大きな壁になる
ことは考え難く、110円がドルの
上値めどになる可能性があることには
注意が必要だと考えます。

予想レンジは、
ドル円で106.20〜112.20円、
ユーロ円は126.20〜132.20円、
英ポンド円は140.20〜148.20円、
ドル円は76.20〜84.20円。