英中銀、政策金利据え置きを決めるも、金利巡り意見割れる

イングランド銀行(英中央銀行)は22日、政策金利
0.50%に据え置くことを決定しました。

委員7人が据え置きに賛成したものの、
2人が0.75%への利上げを支持しました。

これを受け、市場では5月利上げ観測が強まっています。

中銀は、予想通りに国債の買い入れ枠を現行の
4350億ポンドに維持することも決めました。

利上げを支持したのは、マイケル・ソーンダース委員と
イアン・マカファーティー委員で、非常時を上回る水準に
金利を引き上げる時期との考えを示しました。

中銀は2月時点で2.7%のインフレ率を、目標の2%に戻すため、
「現在進行中の引き締め」が必要になる公算が大きいとの
見解を示しています。

米、鉄鋼輸入制限を発動

トランプ米政権は23日、鉄鋼とアルミニウムの
輸入制限措置を発動しました。

一律に関税率を引き上げつつ、適用除外を
取引材料に貿易相手国に譲歩を迫るものです。

米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は22日、
日本が当初の除外対象に含まれないことを
明らかにしています。

日本製品には新たな関税率が適用されます。

鉄鋼とアルミの輸入制限は安全保障上の脅威に対抗する
通商拡大法232条に基づく措置で、米国は
米東部時間23日未明(日本時間同日午後)から
鉄鋼製品に25%、アルミ製品に10%の追加関税適用を
開始しました。

通商代表は22日の上院財政委員会で、当面、適用を
除外する対象がカナダ、メキシコ、欧州連合EU)、
オーストラリア、アルゼンチン、ブラジルと韓国の
7カ国・地域になると表明し、日本は
「(除外対象リストに)入っていない」と明言しました。

輸入制限の主な標的は中国とされますが、米国は
多くの同盟国も関税の適用対象としています。

当面、除外されるEU、韓国などにも今後の協議次第で
適用する可能性を残し、安全保障と経済の両面で貢献を
促しました。

通商代表は21日、「適切な時期に自由貿易協定(FTA)交渉を
始めたいと日本に伝えている」と語り、将来の通商交渉に
意欲を示していました。

今週の材料は?

今週も各国で経済指標の発表が目白押しです。

米国が利上げを発表したり、欧州も利上げについて
前向きな発言が出てくる中で、中央銀行政策金利
行方についてはある程度の見極めが出てきていると
思います。

経済指標に対する関心もやや薄れている感じがあります。

特に、月末を迎える中で、経済指標に対する感応度が
乏しくなっている感じがあります。

ただ、トランプ米大統領が打ち出している貿易戦争の
行方については大いに関心が集まっています。

105円台を超えて円高傾向にある日本にとっては、
日本も制裁される国と指摘されていることで、
米国からの圧力が強まれば一段の円高に進む可能性が
強いことには留意が必要かと思います。

このため今週は、経済指標に対する反応よりは、
米高官発言の影響が大きいとみています。

欧州では
【26日】
10〜12月期の仏GDP確報(予想前年比1.5%増、前回2.5%増)

【27日】
3月のユーロ圏経済信頼感(予想113.3、前回114.1)
3月のユーロ圏消費者信頼感確報(予想0.1、前回0.1)

【28日】
3月の仏消費者信頼感指数(予想100、前回100)

【29日】
3月の英GfK消費者信頼感(予想マイナス19、前回マイナス10)
3月の英失業率(予想5.3%、前回5.4%)
3月の英失業者数(予想1.5万人減、前回2.2万人減)
2月の英消費者信用残高(予想14億ポンド増、前回14億ポンド増)
10〜12月期の英経常収支(予想238億ポンドの赤字、前回228億ポンドの赤字)
10〜12月期の英GDP確報(予想前年比1.4%増、前回1.4%増)
3月の独消費者物価指数速報(予想前年比1.7%上昇、前回1.4%上昇)

【30日】
3月の仏消費者物価指数(予想前年比1.4%上昇、前回1.2%上昇)

米国では
【27日】
1月の米S&P/ケースシラー住宅価格指数(予想前年比6.10%、前回6.30%)
3月の米リッチモンド連銀製造業指数(予想22、前回28)
3月の米消費者信頼感指数(予想131.0、前回130.8)

【28日】
2月の米卸売在庫(前回前月比0.8%増)
10〜12月期の米GDP確報(予想前期比年率2.7%増、前回2.5%増)
10〜12月期の米個人消費確報(前回前期比年率3.8%上昇)
10〜12月期の米GDPデフレーター確報(予想前期比年率2.3%上昇、前回2.3%上昇)
10〜12月期の米コアPCEデフレーター確報(前回前期比年率1.9%上昇)
2月の米中古住宅販売保留件数指数(予想前月比2.0%上昇、前回4.7%低下)

【29日】
最新週の新規失業保険申請件数(予想23.0万件、前回22.9万件)
2月の米コアPCEデフレーター(予想前月比0.2%上昇、前回0.3%上昇)
2月の米個人所得(予想前月比0.4%増、前回0.4%増)
2月の米個人消費支出(予想前月比0.2%増、前回0.2%増)
3月の米シカゴ購買部協会景気指数(予想62.0、前回61.9)
3月の米ミシガン大消費者信頼感指数確報(予想102.0、前回102.0)

日本では
【30日】
2月の失業率(予想2.6%、前回2.4%)
2月の有効求人倍率(予想1.60倍、前回1.59倍)
3月の東京都区部消費者物価指数コア(予想前年比0.9%上昇、前回0.9%上昇)
2月鉱工業生産速報(予想前月比5.0%上昇、前回6.8%低下)

104円台の攻防

今週の為替相場は、104円台の攻防が
大きなカギになりそうです。

ドルが対円で104円台に下落したのはトランプ政権が
対中国での貿易戦争を仕掛ける中で、日本に対しても
関税をかけるなど、日中に対する厳しい姿勢を
示していることが、ドルの下落、円の上昇につながっています。

米国は中国に対する厳しい姿勢を堅持する一方、
日本に対してもFTAでの貿易交渉を行いたい考えで、
為替相場での圧力をかけている節がうかがえます。

日本政府は、早期の問題解決を米国に臨んでいる
ようですが、米国としては日本から譲歩を引き出すことが
狙いのようで、日本との交渉で門譜代を解決したい考えの
ようです。

本来なら、米国の姿勢が明らかになった以上、
為替面での米国からの圧力を感じながら、ドル安・円高
進む動きがこれまでの動きでした。

しかし、今は個人の為替取引が活発になっており、
105円を割りこむドル安・円高が進展したことで、
これを好機とみてドル買い・円売りを持ち込む個人の
動きが強まっているようです。

状況的には、ドル安・円高が進む動きなのですが、
個人の資金がドルの下値を支えている状況となる中で、
ドルの下値が堅いとなれば、ドル売りを仕掛ける動きが
弱まる可能性もあります。

ただ、往々にしてこれまであったのは、個人の動きで
為替相場が動きを止めても、個人が大きな損失を
被った後に、相場の転換が起こったことが
少なくなかったことを意識する必要があると思います。

以前の機関投資家の動きと同じようなことが
為替市場では起きていました。

以前、日本の機関投資家円高で損失を被ることを
嫌って、大量のドル買いを持ち込んでも、投機的な
ドル売りに負けて、結局、損切りのドル売りを
日本の機関投資家が持ち込んだ後に、相場の反転が
見られたことが少なくありませんでした。

今回も、あの時と同じような現象が起きるのか否か、
注意深く見極めたいと考えています。

状況と、実際にお金を投資する人たちの動き、
どちらが流れを制するのでしょうか、注目したいと思います。

予想レンジは、
ドル円が102.20〜107.20円、
ユーロ円が126.20〜151.20円、
英ポンド円が146.20〜151.20円、
ドル円が77.20〜82.20円。