投資家ソロス氏、自身のヘッジファンド外部資金を返還へ

著名投資家のジョージ・ソロス氏は、自身のヘッジファンド
投じられた外部投資家の資金およそ10億ドルを年内にも返還する。

金融規制改革による業界への規制強化を受け、今後は
自身と家族の資産運用のみを手掛けるという。

ソロス・ファンド・マネジメントは今後、家族経営となり、
キース・アンダーソン最高投資責任者(CIO)は退職する。

ソロス氏の息子ジョナサン・ソロス及びロバート・ソロス氏は
投資家向けの書簡で、金融規制改革が
今回の決定の背景にあることを明らかにした。

金融規制改革法(ドッド・フランク法)では、ヘッジファンド
金融当局への登録が義務付けられるとともに、
取引に関する詳細な情報開示が求められる。

だが家族経営の場合は、それほど厳格な
規制の対象にはならないとされる。

返還資金は全体の運用額250億ドルと比べわずかで、
資金返還による影響は軽微とみられている。

また会社の規模も縮小することなく、ソロス氏も
これまで通り積極的に資産運用を行う見通し。

ソロス氏は40年近く前に「クォンタムファンド」を設立して以来、
年間およそ20%のリターンを実現するなど、
ヘッジファンド業界で輝かしい業績を収めてきた。

だが最近では市場のボラティリティーを背景に、
2011年上期の運用成績はマイナス6%となっていた。

ソロス氏の考えを良く知る関係筋によると、
規制強化の流れの中で、時間もコストもかかる
当局への登録を行うよりは、外部資金を返還した方が
より理にかなっているとの結論に達した。

著名投資家のカール・アイカーン氏も
今年に入り、同様に外部資金を返還している。

ニューヨーク大学スターンビジネススクール
ジム・リュー金融学教授は「資産運用のトップが
過度に負担の重い規制により店じまいを
行っているのであれば、最終的には
機関投資家にとって損失となる」と指摘。

「現在の環境下では、雇用創出や資金の調達に加え、
資金分配、最終的には景気刺激など、
むしろヘッジファンドの活発化が必要」と述べた。