米デフォルトなら日本の金融機関にも相当な問題=亀崎日銀審議委員

日銀の亀崎英敏審議委員は27日、三重県金融経済懇談会後の記者会見で、
米国連邦債務上限問題を踏まえ、仮に米国債がデフォルト(債務不履行)、
もしくは格下げされる場合、日本の金融機関や金融システムに
「相当大きな問題を引き起こす」と指摘。

交渉の期限である8月2日までに民主・共和両党が妥協するよう
「米リーダーの良心を信じ注意深く見守っている」と強調した。

欧州周辺国の問題が「これだけ国際金融市場の不安定さを
もたらしており、ましてや世界の最大のGDP国内総生産)で
大きなインパクトを持つ米経済の国際金融市場に与える
影響は計り知れない」と懸念を表明した。

現在の円高については、「企業マインド悪化通じて
マイナスの影響を及ぼす可能性があるために、
極めて慎重にみている」と述べた。

また、高い法人税率や電力供給懸念などに円高が加わることで
企業の海外シフトの加速や中長期的な成長期待の低下が生じないか、
「極めて重要な局面にある」と指摘。

「先行きの経済物価動向について、為替変動の影響含めて
注意深く転換しながら必要な金融政策を
プロアクティブに打つ」と強調した。

ただし、現時点では追加緩和措置が
必要とは考えていない、と付け加えた。

一方、円高にもかかわらず株価が底堅いのは、
日本経済が東日本大震災のショックから
立ち直る途上にあることが一因と指摘。

さらに、円高の原因は欧州ソブリン問題や米国の債務上限問題で、
「日本経済のファンダメンタルズを反映しているか
若干疑問がある」との見方を示した。

急激な為替変動に対して「為替介入は一定の効果がある」とし、
介入権限を持つ財務相が影響や効果を「あらゆる角度から
考慮されて決定されるもの」との認識を示した。