政府が円高対策の検討課題公表、日銀の政策対応期待盛り込む

内閣府は29日、「円高への総合的な対応策の考え方と検討課題」と
題する円高対策を発表した。

先に財務省が発表した円高対策と歩調を
合わせた国内向けの政策課題となる。

対策には「為替市場の動向を引き続き注視し、
必要なときには断固たる措置をとるとし、日銀には
政府との緊密な情報交換・連携と、適切かつ
果断な政策対応を期待する」ことが盛り込まれた。

会見で与謝野馨経済財政担当相は、今朝の
「経済情勢に関する検討会合」で、西村清彦日銀副総裁が
円高はメリットもあるが、一方で日本経済に大きな
ダメージを与える」との発言があったと紹介。

その上で「日銀は持てるツールを駆使してリーマンショック以降に
非伝統的な政策を展開してきている」との認識を示した。

一部に日銀による国債引き受けを期待する声もあるが、
「そんな無茶な話はあってはいけないと思う」と述べ、
否定的な考えを繰り返した。

今回の対策は、基本的な考え方として、国際金融市場の
荒波にさらされている国民、企業を守るために最善を尽くし、
国民が萎縮し、経済の縮小サイクルに落ち込むことを回避する。

また為替市場の動向を踏まえながら、円高への総合的な対策に
早急に取り組んでいくとし、輸出企業や中小企業、就業者の不安を、
中小企業対策や復興需要の早期実現、内需前倒し、立地競争力の
強化などにより解消し、円高メリットの「見える化」と徹底活用をあげた。

検討課題として、1)円高の痛み緩和と雇用の海外流出の防止として、
雇用の下支えや、中小企業の資金繰り等支援、観光業の支援、
高付加価値企業の研究開発拠点や生産拠点への国内立地補助など、
2)円高メリット活用徹底策として、海外直接投資や
資源権益獲得の促進、先端分野を中心に海外研究者の招へい、
海外留学の促進などが挙げられた。

与謝野経済財政相は、従来の円高対策とさほど内容の違いは
ないとしながら「新薬が出てきたわけではないが、
従来と異なるのは国際的な連絡がよくとれていること」と指摘。

中央銀行同士も財務省同士もよく話しており、
国際協調に齟齬はないと確信している」と述べた。

円相場自体は「市場が決めることで
何とも申し上げられない」とした。

具体手な政策に予備費活用などの財政出動をとの考え方も
あるものの、同相はそうした話は「あまり広がっていない」と述べた。