ユーロ圏首脳が危機対策で合意、ギリシャ債務減免50%

欧州債務危機をめぐるユーロ圏首脳会議では、
欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の
実質的な支援能力をレバレッジにより
1兆ユーロに拡大するという点で合意を得た。

ギリシャ第2次金融支援をめぐる民間債権者との交渉では、
債務減免(ヘアカット)を50%とすることで合意した。

8時間に及ぶ協議の末、民間銀行側はギリシャ債務を
自発的に50%削減することで合意した。

首脳会議で協議された欧州債務危機の解決に向けた
「包括戦略」は、EFSF拡充、銀行の資本増強、
ギリシャ債務削減の民間負担の3つの柱からなる。

ギリシャ債務の50%減免で債務負担は1000億ユーロ減少し、
現在160%の国内総生産GDP)に対する債務比率は
2020年までに120%に低下する。
ユーロ圏も300億ユーロを負担する。

詳細を年末までに決定し、
ギリシャへの第2次支援に道筋をつける。

ギリシャ支援規模は1300億ユーロとなり、
7月に合意した1090億ユーロから拡大する。

銀行側の窓口となった国際金融協会(IIF)の
ダラーラ専務理事は声明で、ギリシャ債務を
額面で50%減免することでユーロ圏当局者と
合意したとし、「自発的な民間関与の詳細は、
今後関係者の間で合意され、即時実行される」と述べた。

EFSFは、レバレッジで「数倍」に拡充する。

具体的には特別目的投資機関(SPIV)の設立と、
新発債への部分的な保証付与の2つの方法を設定。

ファンロンパイ欧州連合EU)大統領は
「それぞれの選択肢は、最大4〜5倍の
レバレッジに相当し得る。資金的戦略を
強化するため並行活用も可能だ。最終的に
規模は1兆ユーロ規模となる見通し」と述べた。

レバレッジ化されたEFSFの具体的な運用方法に
関する条件などについては、今後ユーロ圏財務相が取りまとめる。

SPIVには中国など新興国からの投資も見込んでいる。

フランスのサルコジ大統領は、数日のうちに中国の
胡錦濤国家主席と話し合う意向を示した。

EFSFの規模は現在、4400億ユーロ(約6000億ドル)だが、
ギリシャポルトガルアイルランドへの支援分に加え、
域内銀行の資本増強分を除いた利用可能額は
2500億〜2750億ユーロとされる。
これが4倍に拡大し1兆ユーロ程度となる。

SPIVと保証が並行活用されることで
柔軟性が増すと当局者らは指摘している。

ファンロンパイ大統領は「市場状況や投資家の反応次第で、
レバレッジは1兆ユーロ規模となる可能性がある」と述べた。

ユーロ圏首脳会合に先立ち開かれたEU首脳会議は、
銀行の資本増強について、2012年6月末までに
中核的自己資本比率を9%に引き上げることなどで合意した。

欧州銀行監督機構(EBA)は、欧州の銀行が
9%の中核的自己資本比率を満たすために
必要な追加資本規模について、
1060億ユーロとの試算を明らかにした。

国別の必要な追加資本は、ギリシャの銀行が
300億ユーロ、スペインの銀行が260億ユーロ。

ユーロ圏首脳会合ではまた、
イタリアに対し年金改革の迅速な実行を求めた。

イタリアのベルルスコーニ首相は、
年金支給年齢を67歳に引き上げることを確約した。

欧州委員会バローゾ委員長は「肝心なのは実行で、
これが鍵だ。イタリアが措置を本当に
実行しているのか監視することが必要」と述べた。

首脳会合出席者が会場を
後にしたのは午前4時半だった。