日銀が追加緩和決定、円高など景気下振れリスクに対応

日銀は27日に開いた金融政策決定会合で、
リスク性資産も購入対象にしている
資産買い入れ基金を5兆円増額し、
総額55兆円とする追加の
金融緩和策を賛成多数で決定した。
今回の増額対象は、すべて長期国債となる。

進行する円高など金融・資本市場の動向や
海外経済の動向次第で、日本経済が
さらに下振れするリスクがあると判断した。

政策金利は0〜0.1%程度の誘導目標を維持した。

基金の5兆円増額に
反対したのは宮尾龍蔵審議委員。

同氏は基金の増額規模を10兆円とし、
総額60兆円とすることを提案したが、
反対多数で否決された。

今回決定した5兆円の増額対象は長期国債で、
これに伴い基金による長期国債の買い入れ規模は9兆円となる。

固定金利方式の共通担保資金供給オペを含め、
他の資産の買い入れは、現行の規模を据え置いた。

基金による資産の買い入れ期間は
従来通り2012年末をめどとする。

日銀は、同時に発表した声明で、追加緩和に
踏み切った背景について、物価安定が展望できる情勢に
なるまでに時間がかかることや、「国際金融資本市場や
海外経済の動向次第で、経済・物価見通しが
さらに下振れするリスクにも注意が必要」とし、
足元の円高など市場動向にも警戒感を示した。

こうした認識を踏まえ、「物価安定のもとでの
持続的成長経路への移行をより確かなものとするためには、
金融緩和を一段と強化することが必要と判断した」と説明。

増額対象を長期国債とした理由については
「企業の資金調達が基本的に円滑に行われている」とし、
長期国債の買い入れ増で「金融市場全体に緩和効果の
さらなる浸透を図ることが適当」と判断した。

日本経済の現状については「供給面の制約が
解消されてきている中で、持ち直しの動きが
続いている」との判断を維持。

先行きは「当面、海外経済の減速や円高の影響を受ける」と
下振れリスクに言及しながらも、「その後は海外経済の成長率が
再び高まることや、震災復興関連の需要が徐々に
顕在化していくなどから、緩やかな回復経路に
復していく」との見通しを示した。

金融政策運営は、現行の包括的な金融緩和政策などを通じて
中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく」と指摘。

こうした日銀の取り組みが、日本経済の成長力強化に
結びつくためには「民間、政府を含めた各方面が、
緩和的な金融環境を活用しつつ、それぞれの役割に
即した取り組みを続けていくことが重要」と訴えた。