為替介入、相場安定に寄与すること期待=日銀総裁

日銀の白川方明総裁は31日、大阪市で開かれた
地元経済4団体主催の懇談会で講演し、
政府・日銀が同日午前に単独のドル買い/円売り介入に
踏み切ったことについて「為替相場の安定的な形成に
寄与することを強く期待する」と語った。

その上で、企業が海外進出を決める
タイミングは為替相場の動向が影響すると指摘。

現在の為替相場リーマンショック前と比べて
かなり円高で、国内回帰から海外シフトに
企業戦略が戻りつつあり、短期的には
過去の平均的なペースに比べて海外生産シフトが
速く進む可能性があると懸念を示した。

また、国内の中枢的な企業や工場が海外シフトした場合、
将来円高が是正されたとしても、再び国内で企業集積の
メリットを取り戻すことは困難だと述べた。

欧州債務問題については、当面の世界経済にとって
大きな下振れリスクと述べ、危機回避に向けた
欧州の包括的対策の具体化と迅速な実行に期待感を表明した。

総裁は危機回避のための課題として、
1) リーマンショックのような世界金融危機に発展する事態を回避し、
金融市場の安定に万全を期すこと、2)金融システムへの信頼回復に向け、
ユーロ圏の諸国が具体的な取り組みを強化すること、3)財政をめぐる
市場の懸念が強い国を中心に、財政赤字の縮小に向けて着実に取り組むこと、
4)経済の構造改革を進めて成長力を強化すること、の4点を挙げた。

また、欧州ソブリン問題について総裁は、日本が
他山の石として意識すべき点が多くあるとし、
その一つとして国債の安全性にひとたび疑問が
生じると金融システムさらには実体経済に影響が広く及ぶと指摘した。

総裁は、国債の問題を需給バランスだけで語るのは適当でなく、
中長期的な財政健全化への取り組みを市場参加者が根拠をもって
確信していないとすれば、欧州のように何らかのきっかけで
市場参加者が国債保有のリスクを意識し始め、非連続的な
金利上昇につながる可能性は否定できないと警告した。