中国経済、欧州リスクに直面もソフトランディングの可能性=世銀

世界銀行は22日、東アジア・太平洋地域経済に関する報告の中で、
中国経済について、欧州ソブリン債務危機からのリスクが
高まっているほか、中国の地方政府債務を
めぐる懸念に直面していると指摘した。

その上で、金融政策の緩和余地を活用することで
ソフトランディングする可能性があるとの見方を示した。

世銀は、2011年の中国経済成長率見通しをやや上方修正したが、
海外の景気減速に加え、中国が投資と製造業への経済の依存度を
低減するに伴い、2012年から成長は鈍化していく見込みとしている。

また、中国を除く東アジア発展途上国の成長見通しを引き下げ、
先進国からの輸出需要の弱さや、タイの製造拠点が大規模洪水で
打撃を受けたことを理由に挙げた。

中国については「中心的な予想は成長の緩やかな減速であるものの、
リスクは下向きにある」と指摘。

「政策当局者は、成長への短期的なリスクを警戒しつつ、
過熱とまではいかないとしても依然として活況な経済に伴う
ぜい弱性に目を配るという微妙な政策運営が必要になる」との見方を示した。

2011年の中国の成長率見通しは9.1%とした。

3月時点の見通しは9.0%だった。

2012年の成長率についは8.4%に
減速する見込みとしている。

世銀は、中国の今年の成長ペースは、外需の鈍化で
投資と輸出が打撃を受けたことから、
昨年の水準を下回っていると指摘。

金融政策の引き締めも、投資を圧迫しているとする一方、
インフレが弱まりつつあることから政策の正常化余地が
拡大しているとの認識を示した。

中国を除く東アジア発展途上国の2011年の成長率見通しは
4.7%と、3月時点の5.3%から大幅に下方修正した。

欧州での無秩序なソブリン債務の再編が、貿易と資金調達の流れに
打撃を与えた場合、アジア諸国にも影響が波及する可能性があると警告した。