危機対策まだ見つからず、ECBは独立性維持を=欧州委員長

欧州委員会バローゾ委員長は25日、市場の信認回復に向けた
ソブリン債危機の解決策はいまだ見出されていないとの見解を示した。

会合に出席するためポルトガルを訪れているバローゾ委員長は
記者団に対し「現時点で、投資家の信認を取り戻すために
必要なソブリン(債)危機解決に向けた対応策が
存在しないことは事実だ」とし、「解決策が見出されない限り、
欧州は極めて深刻な問題に直面し、協議が続けられることになる」と語った。

「最後の貸し手」として踏み込んだ危機対応を求める声が
高まっている欧州中央銀行(ECB)については「欧州委は
ECBの独立性を常に尊重してきた。政治的な圧力を受けない
独立した中銀を持つことは不可欠だ」と述べた。

その上で「これまで行ってきたように、
ECBが役割を果たすと確信している」とした。

欧州委が23日に示したユーロ圏共同債の導入に関する提案に
メルケル独首相が猛反発していることについて、バローゾ委員長は
「私の知る限り、ユーロ圏の財政統合及び財政規律の強化が
実現した際には、共同債は検討可能というのがドイツの立場」とし、
「双方の見解に大きな溝がある訳ではない」との考えを示した。

「だが欧州委は、共同債に関する議論に着手すべき時期だと
判断した。議論の口火を切り、提案を行う義務がわれわれにはある。
ただ実際に採用するかどうかは、加盟国次第だ」とした。

メルケル首相が危機脱却及び信頼感回復に欠かせないと
主張している欧州連合EU)基本条約の改正をめぐっては
「欧州に対立をもたらすのではなく、ユーロ圏の経済統治を
強化し統合を深化するのであれば、欧州委は条約改正の可能性を
排除しない」とし、条約改正は欧州の統合を発展させるためだけに
行われるべきとの考えを示した。