欧州銀のドル調達コストが2008年の水準に迫る

25日の金融市場では、欧州銀のドル調達コストが上昇し、
深刻な信用収縮に見舞われていた2008年の水準に迫った。

債務危機がユーロ圏中核国にまで飛び火しつつある現在でも、
欧州の政策担当者は抜本的な解決策を見出せておらず、
銀行間市場は機能停止の脅威にさらされている。

欧州銀がユーロをドルにスワップする際に支払う
上乗せ金利である1年物ユーロ/ドルの
クロスカレンシー・スワップ・スプレッドは、
マイナス104ベーシスポイント(bp)と、
2008年終盤につけたマイナス115bpに迫った。

前日の米市場が感謝祭で休場だったため、商いは薄かった。

3カ月物ユーロ/ドルのクロスカレンシー・スワップ・スプレッドは、
一時マイナス166bpをつけ、2008年10月以来の水準に拡大した。

これについてアナリストは、市場でユーロをドルにスワップするより、
欧州中央銀行(ECB)のドル資金供給オペを利用する方が
欧州銀にとって魅力的になってくる水準と指摘している。

3カ月物の同スプレッドはその後マイナス148bpまで持ち直したが、
11月初旬はマイナス105bpで推移していた。

札割れとなった独10年物国債入札をはじめ、今週実施された
ユーロ圏の国債入札は周辺国、中核国問わず軒並み
さえない結果に終わっており、この日実施された
イタリアの6カ月物国債入札も利回りが約6.5%と、
ユーロ導入後の最高を記録した。

INGのストラテジスト、アレッサンドロ・ジャンサンティ氏は
「クロスカレンシー・スワップ・スプレッドの拡大は、
ソブリン危機の深刻化によるものだ。債務危機
中核国をも巻き込む新たな段階に入っている。
欧州銀の資金調達環境は厳しさを増すだろう」と述べた。

金融市場の緊張を示す3カ月物ユーロLIBOR
ロンドン銀行間取引金利)/OIS
(オーバーナイト・インデックス・スワップ)スプレッドは、
2009年初めの水準近辺で高止まりしている。
同スプレッドは一時86bpまで拡大した。

3カ月物ドルLIBOR/OISスプレッドも一時40bpに拡大し、
2009年半ば以来の水準をつけた。