ユーロ圏債務危機の悪化、デフレ招く恐れ=スイス中銀暫定総裁

スイス国立銀行中央銀行)のジョルダン暫定総裁は7日、
ユーロ圏債務危機の悪化でデフレが引き起こされる
恐れがあるとの懸念を示した。

同時に、スイスフランの上昇阻止に向け
あらゆる手段を尽くす姿勢も示した。

同暫定総裁は講演で「債務危機がさらに悪化するとの
リスクシナリオが現実のものとなった場合、スイス国内の
経済活動は想定以上に大きく減速する恐れがある」とし、
「こうした場合、著しいデフレリスクにつながる」と述べた。

ジョルダン氏は、ヒルデブランド前総裁の辞任に伴い
1月9日に暫定総裁に就任。今回の講演は
暫定総裁に就任してから初めてとなる。

スイス中銀は前年9月6日、スイスフラン高対策として、
スイスフランの対ユーロ相場上限を1ユーロ=1.20フランに設定。

ただ、ユーロ圏債務危機懸念から
スイスフラン相場は上昇。
ここ1週間は1.20フランに迫る
水準で推移している。

こうしたなかジョルダン暫定総裁は、この水準内に
とどまるよう中銀は24時間体制で監視を続けているとし、
「銀行間市場で最低水準を下回って取引されることを
決して容認しない。この方針を徹底するため、
中銀には外貨を無制限に買い入れる用意がある」と述べた。

その上で「この方針を徹底するため、中銀には外貨を
無制限に買い入れる用意がある」との立場を示した。

スイス経済について一部エコノミストの間で、
超緩和的な金融政策の下でインフレリスクが
台頭するとの懸念が出ているが、ジョルダン暫定総裁は
「スイスには現在、インフレリスクはまったくない」
としてこうした懸念を一蹴。

ただ、スイス経済については「向こう数四半期にわたり
成長が弱い状態が続く」との見通しを示した。

スイス中銀は2012年のスイス経済の成長率は、
世界的な需要低下と為替相場の影響で
0.5%に減速すると予想している。