欧州銀行にリスク残るとEUが指摘
欧州連合(EU)は、域内の銀行部門には引き続きリスクが
存在するとの報告書を30日のEU財務相会合に提出した。
銀行が不良債権処理を遅らせれば、新規の貸し出しが
伸びない可能性があると指摘している。
報告書は「年初から状況は予想外に良いが、マクロ経済見通しは
依然として若干下向きだ」と指摘し「仮にソブリン債危機が
最終的に貸し渋りや内需の腰折れにつながれば、
おそらくリセッション(景気後退)は長く大幅なものになる」
との見方を示した。
こうした中、EUの欧州委員会は30日、破綻した銀行の
債権者負担に関する提案を延期する意向を示した。
欧州委は破綻銀行が発行した債券の保有者も
損失負担の対象としたい考えだが、投資家が
購入を躊躇し銀行の資金調達コストが
上昇するとの見方も出ている。
バルニエ委員(域内市場・サービス担当)は
加盟国に提示し承認を得るために、少なくとも
1カ月の準備期間が必要と説明した。
債券保有者の損失負担に慎重な中央銀行や、
加盟国に見解を求める。
破綻行だけでなく、経営危機に陥った銀行を
立て直すために債券保有者に損失負担を
求めることの是非や、損失負担の対象となる
債券などが焦点となる見込み。
バルニエ委員は記者団に対し、株主と債権者に
損失負担を求めることは選択肢となるべきと指摘し
「納税者に銀行救済の負担を負わせたくない」と述べた。
破綻銀行の債権者負担に関する
新たなルールは早くても2013年の導入となる。