イタリアが財政再建目標を緩和、成長支援を優先

イタリア政府は18日、これまで掲げていた
2013年の財政収支均衡目標を1年先送りし、
財政再建よりも成長支援を優先させる方針を明らかにした。

モンティ内閣は、成長予想の引き下げや2012年〜2014年までの
財政赤字削減目標の盛り込んだ財政・成長見通しを承認した。

新たな財政赤字削減目標は、2012年が従来の国内総生産
GDP)比1.6%から1.7%に、2013年は0.1%から
0.5%にそれぞれ引き上げられた。

2014年はGDP比0.1%とし、
財政収支がほぼ均衡するとの見方を示した。

モンティ首相は閣議後の記者会見で「われわれの
取り組みはすべて成長支援に向けられたものだ」と強調。

緊縮財政がさらなる景気悪化を招く悪循環から脱却するため、
成長支援を最優先に掲げる姿勢を鮮明にし、一段の緊縮措置に
取り組むユーロ圏の他の高債務国と距離を置いた。

また新たな目標は、景気変動の影響を考慮する
欧州連合EU)新財政協定の規則に即していると指摘した。

リセッションによる南欧諸国への打撃の大きさを強調し、
景気変動の影響を除いた2013年の構造的財政収支は
GDP比0.6%の黒字になると見方を示した。

2012年の成長率については、12月時点の
マイナス0.4%からマイナス1.2%に予想を引き下げた。

ただ1.5%程度のマイナス成長を見込んでいる
三者機関の予想に比べると、なお楽観的となっている。

2013年についてはこれまでのプラス0.3%から
プラス0.5%に引き上げた。

公的債務の対GDP比率については、昨年の120.1%から
今年は123.4%に上昇するが、2013年には121.6%に
低下するとの見通しを示した。

イタリアが財政再建目標を後退させたにもかかわらず、
同日の欧州債券市場で、イタリア国債の利回りは
小幅な上昇にとどまっている。

これは市場でモンティ首相が信頼されていることに加え、
イタリアが直面する問題の核心は常態化している
経済のぜい弱さと認識されているためだ。

対照的に、スペインでは政府が財政赤字の削減目標を
緩めて以降、国債利回りが大きく上昇している。

イタリアの財政赤字の対GDP比率はユーロ圏の中でも
低水準にとどまっている一方、スペインはその比率が高く、
同国のラホイ首相はモンティ首相ほどの信頼感を得られずにいる。

また来年の財政収支均衡がますます困難な情勢になる中でも、
国際機関や他のEU加盟国はこれまで、モンティ首相を
全面的に支持する姿勢を維持している。

国際通貨基金IMF)は17日、イタリアが2017年以前に
財政収支を均衡することは難しいとの見方を示したが、
一段の緊縮措置を実施して景気を下押ししないよう
モンティ首相に促した。

IMFは、イタリアの今年の成長率を
マイナス1.9%と見込んでいる。