IMF財源強化へ、加盟国から3200億ドルの拠出表明

国際通貨基金IMF)のラガルド専務理事は18日、
IMFの財源増強について、ポーランドとスイスが
新たに資金の拠出を表明し、これまで加盟国から
3200億ドルの拠出表明があったと明らかにした。

専務理事は声明で、ポーランドからの80億ドルとスイスからの
「かなりの額」を含め、18日に340億ドルの拠出表明があったと述べ、
IMFが、危機への対応と世界経済の安定促進に十分な財源を
確保することは、すべての加盟国の利益になる」と指摘した。

増強規模は、日本やスウェーデンデンマークによる
拠出表明を受け、17日時点で2860億ドルとなっていた。

世界銀行IMFの春季総会は20日から公式に始まる予定。

スペインやイタリアの借り入れコストが再び上昇する中、
IMFの財源増強は急務で、4000億ドル程度が目標とされている。

この日これより先、米国は、IMF
財源強化への取り組みに支持を表明した。

これにより、20カ国・地域(G20)の間で、債務危機解決に
向けたユーロ圏の努力を認める姿勢が強まったことが示唆された。

米政府はIMFへの拠出金を拡大しない方針だが、
ガイトナー米財務長官が、他の国による追加拠出を
歓迎する姿勢を示したことから、今週ワシントンで
開かれるG20会合で、IMFの財源強化について
合意する道が開かれたとみられる。

IMFの財源強化は、ユーロ圏危機の波及で
欧州諸国以外の国が打撃を受けた場合の支援に備えるもの。

19〜20日G20財務相中央銀行総裁会議、及び
今週末のIMF・世銀春季総会では、IMFの財源強化への
取り組みが主要な議題となる見通しだ。

ガイトナー長官はブルッキングス研究所で講演し、
IMFは必要になった場合、非常に短期間で
他の国から追加的な財源を確保する能力を
持っていることを世界に示すことができると指摘。

「これにより、欧州各国の取り組みを強化し、
必要に応じて欧州発の問題の世界への波及を
緩和するための大きな余力が存在していることを
世界各国に対し証明することができるため、
歓迎すべきことと考える」と語った。

さらに「われわれは実際、そのプロセスを非常に支持している。
今週、全面的な支持を表明するだろう」と加えた。

長官は、IMFに追加資金を拠出しない米国の方針を
繰り返したものの、欧州の自助努力を求める
これまでの発言は控えた。

一方、米国と同様に追加資金を拠出しない方針である
カナダのフレアティ財務相は、記者会見で「(欧州は)
これまで以上に(危機への)取り組みを
強化しなければならない」と指摘。

カナダ銀行中央銀行)のカーニー総裁も「欧州の問題を
解決するのはファイアウォールではない。欧州で持続的に
下される決定であり、断固とした欧州の行動だ。
外部からの資金ではない」と強調した。

こうした中、メキシコのミード財務相IMFの財源強化で
G20が合意する可能性に楽観的な見方を示した。

同相は、日本、スウェーデンデンマークによる拠出表明は、
状況が順調に進展している兆候だと述べた。

メキシコは今年のG20議長国として、議題のみならず、
結果に影響を与える可能性があるため、
同相の発言は大きな意味を持つとみられる。

同相は拠出表明に関して、「(G20)会合に向けた
良い環境が形成されている」と語った。