ブラジルが利下げ、追加緩和の可能性示唆で市場に驚き

ブラジル中銀は18日、予想通り政策金利
75ベーシスポイント(bp)引き下げ9.00%にすると発表した。

ただ、景気支援のための追加利下げの
可能性を示唆し、市場を驚かせた。

決定は全会一致で、昨年8月以来、
6回連続の利下げとなった。

ブラジル経済は昨年下半期ごろから、リセッション
(景気後退)入り瀬戸際の状態にある。

ルセフ大統領は、金利が低下すれば消費が持ち直し、
経済は健全な成長軌道に戻ると利下げへの期待感を表明している。

中銀は前回の会合で緩和サイクル終了の方針を示唆したが、
この日はインフレ見通しが穏やかなことを指摘し、
追加利下げに含みを残した。

声明は「金融政策委員会は、現時点で、インフレトレンドへの
リスクは引き続き、限定的だと考える。世界経済のぜい弱さを
考えると、今のところは、海外からの寄与はディスインフレ
方向にあると判断している」としている。

中銀のトンビニ総裁は今月、政策金利は過去最低の
8.75%をやや上回る水準まで引き下げられ、その後は
しばらくその水準が維持されると発言。

これを受け、金利は9%まで下落し、
追加利下げはないとの観測が広がっていた。

今回インフレに関するトーンがより控えめになったことは、
中銀が現在の緩和局面が間違った方向にあるか
見極めようとしていることを示している。

ただ、物価トレンドの急変や成長加速、あるいは
外部ショックで急速なペース変更を
余儀なくされる可能性も残されている。

トンビニ総裁は、リスクは後退したが、
世界経済の回復は依然ぜい弱との見方を示している。

ブラジルの政策金利は依然、主要国の中では高水準にあるが、
アナリストは利下げの限界を見極めようとしている。

もし9%を下回れば、投資家が国債を手放し、
無税の預金に同様かそれより高いリターンを
求める可能性がある。

そうなれば、政府の資金調達コストは上昇する。

今年は地方議会選挙が控えており、ルセフ政権は、
支持率低下につながりかねない預金金利引き下げを否定している。

昨年の7年ぶり高水準から低下を続けているとはいえ、
インフレが中銀の行動余地を制限する可能性もある。

3月のインフレ率は前年比5.24%に低下したが、
依然として中銀の目標レンジ中央値である4.5%を上回っている。

国際通貨基金IMF)は今週、ブラジル経済は勢いを
取り戻しつつあり、依然景気過熱のリスクに直面していると指摘した。

政府による景気刺激策に加え、
金利引き下げはインフレを促す可能性がある。

ルセフ大統領は、少なくとも4%という2012年の
成長目標達成に向け、減税などの景気刺激策を打ち出している。