米格付け機関、加州の財政赤字見通し引き上げでも格付け据え置き

米国の格付け機関は15日、カリフォルニア州
格付け及び格付け見通しを据え置いた。

ブラウン知事が同州の翌年度の財政赤字見通しを
上方修正していたが、据え置きとなった。

ただ、格付け機関のアナリストは、財政赤字の解消を目指す
ブラウン知事の計画を議会が実行しなければ、格付けや
見通しを引き下げる可能性があるとみている。

ブラウン知事は前日、翌年度(2012年7月〜2013年6月)の
財政赤字見通しを、低調な景気回復と予想を下回る収入を理由に、
従来の92億ドルから157億ドルに引き上げた。

S&Pは、「Aマイナス」の格付けと「ポジティブ」としている見通しを
据え置いた上で、議会が承認する予算に抜け穴が多い場合、
見通しを変更する可能性があると表明。

「信頼に値するとわれわれが考える財政赤字対策について
議会が合意できなければ、われわれは見通しを『安定的』に
戻す可能性がある。さらに、予算プロセスを通じて州の
信用の質が悪化すると判断すれば、見通しを『ネガティブ』に
引き下げるか、あるいは格付けそのものを引き下げる
可能性もある」との声明を発表した。

S&Pはカリフォルニアを、米国の州の中で
最も低い水準に格付けしている。

カリフォルニア議会は6月15日までに、
翌年度の支出計画を承認する必要がある。

一方、ムーディーズの・インベスターズ・サービスの
バイスプレジデント、エミリー・レイムス氏は、
有権者増税を容認するとは考えられないなか、
民主党主導のカリフォルニア州の議会は、
支出削減策に関する困難な決定を回避する
ゆとりはないと指摘した。

ムーディーズによる同州の格付けは「A1」。

フィッチ・レーティングスはリポートで「われわれは
カリフォルニア州財政赤字の拡大に対処できると
確信しているが、2013年度までの財政や
キャッシュフローをリバランスしても、
同州の財政をめぐる不透明感は解消しない」
との認識を示した。

カリフォルニア州の信用スプレッドは15日、財政不安を受けて拡大し、
米国の地方債ベンチマーク(トリプルA相当)に対する同州の
10年債利回りスプレッドは、前日の
73(ベーシスポイント)から81bpに拡大。
30年債のスプレッドも87bpから95bpに拡大した。