アイルランド国民投票がEU財政協定参加承認、賛成60%

アイルランドで5月31日実施された欧州連合EU)の
新財政協定批准の是非を問う国民投票は、
賛成が60%に達し承認された。

43の選挙区のうち、反対が
賛成を上回ったのは5区のみとなった。

投票率は50%と、同国の
国民投票のほぼ平均となった。

アイルランド国債2年物利回りは一時、
約5カ月ぶり高水準となっていたが、
ほぼ50ベーシスポイント(bp)低下し
7.14%となった。

短期債の利回りが長期債を下回り、今週逆イールドと
なっていた同国債イールドカーブは、
再び順イールドとなった。

危機の際に欧州支援基金を利用できるのは協定を
批准した国だけである点が、
国民投票をめぐる論議の中心となっていた。

欧州を取り巻く不透明性が高く、アイルランド
2013年の債券市場復帰を目指すにあたり、
欧州支援基金は不可欠と政府は主張していた。

アナリストは、承認を受けて同国が計画通り、
来年債券市場に復帰できる可能性が高まったとの見方を示した。

グッドボディ・ストックブローカーズの
首席エコノミスト、ダーモット・オリリー氏は、
世論調査から承認が予想されていたことから、
市場ではそれほど大きな反応は見られなかったと分析した。

その上で、「アイルランドから欧州への支持を表明する
メッセージにはなったが、政策担当者が目を向けるべき
ユーロ圏の課題は多く、そう長く喜んではいられない」と話した。

アイルランド企業・雇用者連合(IBEC)の
首席エコノミスト、ファーガル・オブライアン氏は
「(可決されたことで)経済見通しの不透明性が
やや低下するが、高水準の失業率や、多くのセクターでの
成長低迷など、国内経済が抱える問題を
覆い隠すものではない」との見方を示した。