新興国経済は先進国の減速がリスク、当局備えを=IMF

国際通貨基金IMF)は27日に発表した
世界経済見通し(WEO)の分析編で、
先進国の景気減速によって新興国の成長が
脅かされる恐れがあると指摘し、新興国
当局者はそうした事態に備える必要がある
との見解を示した。

10年以上にわたる政策立案の改善を受けて
新興・発展途上国の経済は力強さを増し、
打撃への耐性を強めたとしながら、内外からの
衝撃によって影響を受けないわけではないと強調した。

また、新興国の力強い成長をけん引してきた
資本流入の拡大や急速な信用の伸び、
商品(コモディテイ)価格の上昇などが、
突然終わりを迎える可能性もあると警告した。

IMFエコノミスト、アブドゥル・アビアド氏は
記者会見で「過去2年にわたり比較的落ち着いていた
新興国経済の状況が続く保証はない」と述べ、
「先進国経済が再び後退するリスクがかなりあり、
そうなった場合、新興・発展途上国の経済は先進国に
『リカップリング(再連動)』することになる」
との見方を示した。

IMFは、先進国の景気後退や資本流入
突然の停止により、新興国の景気拡大が止まる
リスクは2倍に膨らむとの分析も明らかにした。

ただ、信用ブームや銀行危機といった国内発の
衝撃のほうが、新興国のより深刻な景気減速を
引き起こす可能性が高いとした。

さらに、世界経済が一段と減速する可能性を
踏まえると、新興・発展途上国は財政の
セーフティネットを立て直すことに注力すべきとした。

アビアド氏は、新興国がこれまで世界経済の危機に
耐えてきた理由のひとつとして、政府が財政出動
よって景気を下支えしてきた点に言及し、多くの国は
こうした措置を巻き戻していないと指摘。

財政赤字削減やインフレ抑制を通じて立て直す
必要があるとし、為替の弾力化など最近の政策是正の
取り組みが維持されれば、新興国は新たな衝撃に対する
耐性が一段と強まるとの見方を示した。