スペイン銀の資本不足は593億ユーロ、支援要請は約400億ユーロに

スペインは28日、主要14行に対して実施した
ストレステスト(健全性審査)の結果を明らかにし、
景気が大幅に悪化した場合の資本不足は
総額593億ユーロ(763億ドル)と発表した。

スペイン銀行(中央銀行)のレストイ副総裁は、
不足額のうち400億ユーロ程度を欧州からの
支援で確保し、残りは各行が自力で調達する公算とし、
「(合意済みの)1000億ユーロの銀行支援枠のうち、
現時点で利用が想定される額は、監査会社が試算した
不足額よりも最終的に3分の1少なくなる見通しだ」と述べた。

ストレステストはコンサルタント会社のオリバー・ワイマンが実施。

不動産バブル崩壊の影響を受ける銀行の財務健全化に
向けてスペインが欧州から支援を受ける条件となっており、
各行の資本不足を特定する目的で行われた。

また、スペイン政府が財政支援を求め、欧州中央銀行
(ECB)が国債買い入れプログラムを実施するには、
27日に政府が発表した2013年予算案と、国内銀行システムの
90%を対象とした監査実施が必要となっていた。

ストレステストで明らかになった資本不足は、
すでに政府に救済された4行が大半を占めた。

これら銀行の不足額は計490億ユーロに上り、
バンキアは約半分に当たる247億ユーロとしている。

このほかストレスシナリオ下で追加資本を必要とするのは、
バンコ・ポピュラールとバンコ・マレ・ノストルムに加え、
イベルカハ、リベルバンク、カハ3の旧貯蓄銀行合併によって
誕生予定の新組織。

これらの銀行は来月、新株募集や資産売却など自力での
資本増強策を盛り込んだ計画をスペイン中銀に提出する。

これによって最終的な所要額が減り、
欧州からの救済額も少なく済む可能性がある。

サンタンデールBBVA、カイシャバンクなど
金融システムの60%以上を占める銀行は、
監査条件下で追加資本が不要とされた。

欧州委員会は、この日公表された監査結果を踏まえ、
数カ月以内に各行に対する資本注入額を決定する考えを示した。

スペイン経済省のラトーレ経済担当次官は監査について
「極めて厳格かつ慎重に実施され、透明性も非常に高いことから、
(スペイン金融)システムの健全性に関するあらゆる疑念を
払しょくするだろう」と述べた。

今回のテスト結果は政府や市場の予想に沿った内容で、
欧州委員会やECB、国際通貨基金IMF)も歓迎した。

ECBは「厳格かつ包括的」と評価し、「適切なタイミングで
資本強化を実施するスペイン政府の計画を強く支持する」
との声明を発表した。

またIMFのラガルド専務理事は、スペイン銀の
資本不足が欧州と合意済みの支援枠内に十分に
収まっていることが示されたと指摘し、銀行の
資本不足に適宜対応し、財務基盤の最も弱い銀行に
効果的に対処しようとするスペイン当局の意向を
強く支持すると表明した。

ユーログループのユンケル議長(ルクセンブルク首相)も、
資本不足額が合意済みの銀行支援の範囲内に収まったことに
安ど感を示し、今後のプロセスは円滑に進むとの見方を示した。