それでも円高傾向に変化なし

今週の為替相場は、円高傾向が
続くと考えています。

円の弱材料は、たくさんあります。

尖閣諸島問題を巡る日中の厳しい対立や、
竹島問題を巡る日韓の厳しい対立など、
東アジアのバランスが崩れかかっています。

世界中から注目されているだけに、
武力で解決する動きはないと思いますが、
中国や韓国の激しい日本非難の様子を
見ていると、米国が中韓に対して融和的な
姿勢を見せるなど、誤った対応を示すと、
一気に軍事行動にエスカレートする感じがします。

また、日本のデフレは深刻さを増しています。

経済の低迷が続く中で、財政赤字も膨らんでいます。

本当なら政治主導で、財政問題
解決しなければならないのですが、
民主党自民党も不毛の代表戦や
総裁選を行っています。

自民党の総裁選では、出戻りの
安倍さんが総裁に再選されました。

一度、総理総裁の地位に登り詰めた人が、
病気を理由に不可解な退陣をしたのに、
また、その地位にトライする、ということは
なかったことです。

それだけ、総理総裁の地位は重いものです。

総理総裁の地位を軽くした張本人が
返り咲くというのは、如何なものでしょうか。

また、「美しい国」、日本を取り戻すという、
フレーズは帝国日本の再建を目指している
ような感じで、怖さを感じます。

日本の国土を守るというよりは、軍国主義の復活を
目指しているような感じがしてなりません。

そういう人材が、近い将来の日本のトップに立つ
可能性が強まっていることに、中国や韓国はもちろん、
先の戦争で被害を受けた国々、さらには米国などの
連合国からも懸念の声が出ています。

そういう危うさが、日本の将来の危機に
繋がるような感じがしています。

再び、日本が世界から疎まれる
可能性が出てきました。

このような政治の体たらくも
円にとっては大きなマイナスです。

しかし、円はマイナスイメージを背負いながら、
ジリジリと値を上げています。

これは、欧州危機が依然として大きな壁となって
立ちはだかっているのが大きな理由だと考えます。

欧州危機の対応策は色々出てきましたが、
それでもドイツと他の国の対立が
解消されていないことが意識されています。

欧州問題については、その解決策が
見えていないことが、不安材料になっています。

こうしたユーロの抱えるマイナス面が
市場では強く意識されています。

また、ドルは米経済の先行き不透明感が
マイナス材料になっています。

FRB内では、緩和について意見が大きく割れるなど、
経済の回復に対して方法論が違っています。

その差が今後、どんな形で経済の回復に影響を
与えることになるのか、ならないのか注目されます。

米経済指標を見ていると、まだら模様になっており、
数字次第で一喜一憂する展開が続くと思います。

結局、相対評価で円が優位な動きには変化がないと思います。

このため、今週は円高を抑制する、
円売り介入の可能性を探る動きが
強まると思います。

予想レンジは、
ドル円が74.20〜79.20円、
ユーロ円が96.80〜102.80円、
英ポンド円が118.80〜127.80円、
ドル円が77.20〜82.20円。