米FRB、インフレと失業の目標採用する可能性=FOMC議事録

米連邦準備理事会(FRB)が4日に公表した
9月12〜13日の連邦公開市場委員会FOMC)議事録で、
政策の目安として、インフレと失業の数値目標を
採用する可能性があることが明らかになった。

FRBは当該FOMCで、住宅ローン担保証券MBS)を
月額400億ドル買い入れ、インフレが抑制されている限り
労働市場の見通しが大幅に改善するまで資産買い入れを
継続する方針を示し、量的緩和第3弾(QE3)の実施に
踏み切っている。

議事録では、第2・四半期の経済成長率が1.3%と
低迷するなど景気回復の足取りが鈍い状態が続くなか、
追加刺激策が必要との考えでFOMCメンバーが
概ね一致していたことが明らかになった。

議事録は「FOMCメンバーは全般的に、
追加緩和策がなければ、労働市場の状況を
持続的に回復させることができるほど経済は
力強く成長しない可能性があるとの判断を
示した」としている。

議事録ではまた、FRBが利上げを実施する時は
経済要因を考慮するとしたエバンズ・シカゴ地区連銀総裁の
提案に明確な支持があったことも明らかになった。

エバンズ総裁は、インフレ率が3%を上回らない限り、
FRBは失業率が7%を下回る水準に低下するまで、
超低金利政策を継続するべきとの立場を主張していた。

ただ、具体的にどのような指標を採用し、さらに、
少なくとも2015年半ばまで超低金利政策を維持する
としているFRBの現在のガイダンスからのシフトを
どのように伝達するかについて、意見を一致させることは
困難だったことも分かった。

議事録は「ほとんどの参加者は、数値目標の導入は
フォワドガイダンスの条件をより明確にするために
役に立つとの点で一致した。ただ、コミュニケーションを
めぐる課題に対処するために、さらなる取り組みが
必要との認識が示された」としている。

量的緩和第3弾(QE3)の実施はFOMCメンバーの間で
広く支持されたもようだが、一部メンバーから懸念も出ていた。

議事録では、危機前の水準の約3倍にあたる
2兆8000億ドルに膨れ上がっているFRB
バランスシートがさらに拡大することで、
政策を通常状態に戻す出口戦略の実施が
困難になるとの懸念が一部の地区連銀総裁から
示されていたことも明らかになった。

「複数の参加者は、追加買い入れにより、適切な時期が
到来した時に緩和的な金融政策を巻き戻すFOMC
取り組みが複雑化し、将来的にインフレ高進の
リスクが高まり、インフレ期待が上昇する可能性が
あるとの懸念を改めて示した」としている。

ただ、インフレ見通しに対するリスクは
概ね均衡しているとの認識が示された。

今回の議事録では、すべてのFRB政策担当者が
合意するコンセンサス予想の公表を検討していたことも
明らかになった。

FRBは現在、政策担当者の個別の予想を無記名で公表しているが、
コンセンサス予想が公表されるようになれば、時に多様な予想が
統一されることになる

この件に関しては、10月23〜24日の
次回FOMCで討議が継続される。

様々な案件が議題に上ったものの、政策担当者の
最大の関心は雇用問題であることも明らかになった。