ユーロ圏の通貨安政策、世界の好循環につながらず=中尾財務官

中尾武彦財務官は13日午後、国際通貨基金IMF)・
世界銀行年次総会の関連セミナーに出席し、
債務危機を抱える欧州が通貨ユーロを
切り下げることで危機から脱しようと試みる
通貨安政策は、一段の円高進行など他地域への
悪影響があるとして、否定的な見解を示した。

欧州問題に関するセミナーにパネリストとして
出席した財務官は、通貨安政策の是非を問う質問が
会場から寄せられた際、欧州の当局者に続いて発言。

アジア危機などの際は通貨の切り下げが
「重要なツールだった」が、欧州は域内の
貿易量が多いこと、賃金の引き下げなどで
名目的な価値を切り下げているなどして、
一段と通貨を切り下げても好影響は限られると主張。

「ユーロは他地域への波及効果を考えないといけない。
通貨を切り下げて外需に頼って成長しようとしても、
全体としてうまくいかない」と述べた。

欧州問題の発生以降、円が逃避先として選好され、
高値圏で推移していることにも重ねて言及。

「日本は安全逃避という現象で円が急激に上昇し、
苦しんでいる。経済実態を反映しない円高だ。
外部要因でそうなっている」として、通貨安政策は
「ユーロにとって有益なアイデアではない」と断じた。