「円高懸念」は日本だけ?

今週の為替相場は、スペインなど
欧州情勢を見極める展開が予想されます。

注目されたG7では、欧州の金融危機に対する
取り組みが注目される一方、各国は景気回復に
向けて努力することが改めて確認されることになりました。

注目された為替相場に対する認識については、
日本は「円高」に対する懸念を表明したものの、
各国の反応は冷ややかなものでした。

相変わらず、日本は円高対応を懇願し、
何とか各国がそれに応じて欲しいという
姿勢が露骨に表れたものでした。

財務相IMF専務理事との会談で、
円高の懸念について共感を得ようとしましたが、
専務理事は聞き置く程度の姿勢を見せただけでした。

他の高官との会談でも、日本は円高の懸念を
表明しますが、円高阻止が共通認識になることは
ありませんでした。

日本は、円高阻止だけを主張して、今、
世界が抱えている問題に協調出来ない国と
思われているかも知れません。

欧州問題が深刻なのは、対応策を打ち出しても、
また問題が浮上することです。

巨額の資金を投入して、問題の芽を摘んでも、
他の国で問題が出てくる訳です。

また、問題の起きた国では、緊縮財政を打ち出しても、
国民が緊縮財政に反対する動きが強まります。

当該国は、緊縮財政を見直すことにしますが、
それに対しては、支援国や支援国際機関から
緊縮財政を履行するように迫られます。

市場は、そうした動きを睨んで、
当該国の国債を売ります。

市場に揺さぶられて金融市場が混乱します。

そして、また対応策を打ち出すという
繰り返しになっているわけです。

対応策、支援策で、危機は一旦、回避されますが、
解決に向けた動きが出ていないことで、
市場の攻撃を浴びる訳です。

結局、IMF・世銀総会やG7でも
有効な策は見えて来ませんでした。

一義的には、欧州自身がどんな解決を
したいと考えているのかを明確にすることが
必要だと思います。

ユーロ圏の結束を示すだけでは、
問題は解決しないと思います。

こんな状況なので、ユーロが
引き続き主役の動きとなると思います。

ユーロが売られるか、買われるのか、
それが為替相場を決める要因になる
展開が続くと考えています。

円は、相対評価で買われるのか、
売られるのか、受動的な動きを
続けると思います。

ドルは、経済状況はもちろん、
大統領選挙での現職大統領の苦戦などが、
ドルにとっての弱材料になるのか、
見極めたいと思います。

また、円高に振れた場面で、
介入が出来るのか。

介入をした場合、各国の反応は
どうなのか、注目したいと思います。

予想レンジは、
ドル円が75.80〜80.80円、
ユーロ円が95.80〜103.80円、
英ポンド円が118.80〜127.80円、
ドル円が76.80〜82.80円。