景気刺激策は適正規模、副作用起こさない=中国人民銀副総裁

中国人民銀行中央銀行)の易綱副総裁は14日午前、
国際通貨基金IMF)・世界銀行年次総会の関連セミナーに
出席し、9月に打ち出した1兆元の景気刺激策について
「経済成長の安定に十分だが副作用は引き起こさない
適正な規模」と述べた。

また「体制移行期の現在13億人を食べさせなければ
カオス(混沌)に陥る」と語り、食糧価格の高騰など
インフレを強く懸念していることを示唆した。

副総裁は日中関係悪化のあおりから
欠席した周小川総裁の代理で講演。
周総裁の論文を紹介した上で質疑応答に応えた。

総裁論文を引用する形で、「中国は経済成長への情熱が
国中にまん延しているが、中央銀行は中央・地方政府に
対して繰り返しインフレへの注意と最適で持続可能な
成長率の重要性を訴える必要がある」と指摘した。

また「金融政策の最優先事項は物価の安定」とし、
危機に対しては「迅速に流動性を注入する必要があるが、
副作用には常に注意している」と述べ、出口戦略の
重要性も強調した。

また「緊急の課題が数多くあり、順番を間違うことは
できない」とも述べ、「金利の自由化」の実施に時間を
かけているのは、農業生産を維持する上で極めて重要な
地方金融機関の体制強化が重要なためと説明した。

質疑応答では、一部先進国が採用している
インフレ目標政策は「小規模な開放経済体制の
国に相応しい」と指摘し、中国には「物価の
安定性を重視しつつ、複数の政策目的を
維持するのが相応しい」と述べた。

人民元の国際化は、「全面的に市場主導で
行われるもので我々が主導してはいない」と指摘。

ただ投資・貿易目的での使用制限は
公平ではないので撤廃を進めてきたと述べた。