ECB銀行監督権限めぐり譲歩案、英独の主張受け入れ=内部文書

欧州連合EU)加盟国は、ユーロ圏「銀行同盟」構想の下での
銀行監督権限について、ドイツと英国の主張を受け入れ、
欧州中央銀行(ECB)が担う監督権限を弱める方向で
検討していることが、ロイターが入手した文書で明らかになった。

ECBにユーロ圏17カ国の銀行監督権限を持たせることは、
銀行同盟構想の3つ柱のうちの1つで、EU首脳は年末までの
実施を目指すことで合意している。

今回明らかになった譲歩案は、銀行同盟構想の下で
各国規制当局に代わってECBが大きな権限を持つことに
懐疑的な姿勢を崩していないスウェーデンポーランドなどの
ユーロ非加盟国の懐柔が目的とみられる。

11月16日付の同文書は、「ユーロには加盟していないものの、
構想に参画する国は、ECBの決定の拘束は受けないとECBに
告知することができる」としている。

ただ「これを受けECBは、緊密な提携の中止、
もしくは停止を検討する」とし、ユーロ非加盟国に
ECBの決定からの除外が認められた場合、銀行同盟から
除名される可能性があることが示されている。

またオランダとルクセンブルクが、経営難に陥った銀行の
清算に関するECBの権限を弱めることを提案しているが、
同文書ではこうした案も検討事項に挙がっていることが分かった。

同提案によると、清算制度が整って初めてECBは経営難に
陥った銀行を閉鎖する権限を発動することができる。

さらに、各国が代表者を送り込むECBの監督部門に
一段と強い権限を与えること、また銀行資本の積み増しの
必要性について各国政府により大きな決定権を与えることも
提案されている。

ただ、ECBはユーロ圏のすべての銀行、及び
銀行同盟構想に参画するユーロ非加盟国の
銀行の監督に関して、最終的な権限を持つ。

関係筋の1人は譲歩案について、「ユーロ非加盟国の
取り込みに向け動いているようだ」と指摘。

また、「各国の監督機関にECBよりも大きな権限を
与えることについても努力が続けられているようだ」
と述べた。

別の関係筋は同文書について、「ECBの権利や権限を
縮小するのではなく、加盟各国の権利と権限を
より明確に示すことで、加盟国から出ていた不満の
解消を目指したものだ」との見方を示している。

これらの案は、20日の銀行同盟に
関する協議で検討される見通し。