銀行監督には利益相反リスク、金融政策は万能でない=独連銀総裁

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのバイトマン独連銀総裁は23日、
ECBを欧州銀行の監督機関とする計画について、利益相反リスクを伴う
可能性があるとして懸念を表明した。

総裁は銀行関連の会合での基調演説で「銀行同盟が本来、
金融政策に及ぶことを回避すべきリスクが(ECBを
銀行監督機関とすることによって)もたらされる」と指摘。

金融政策と金融機関の監督という2つの責務には
利益相反リスクが伴う可能性があると述べた。

また「危機によって金融政策と財政政策の境界線が
曖昧になった」とした上で「金融政策は万能薬ではない」と発言。

金融政策への過剰な負担は、強く安定した成長に向けた
持続的基盤を築くことにはならないとの見解を示した。

イトマン独連銀総裁は同会合での討論会で、中銀当局者は
政策の長期的影響を念頭に置くことが重要だと指摘。

政策のリスクと効果のバランスが時間とともに変わることを
意識する必要があるとし、政策によって市場が歪められているため
政策の解除は一層難しくなりつつあるとの認識を示した。

これまでの金融政策は、経済の回復局面で低迷局面ほど
速やかに対応しなかったとし、その結果、一部セクターで
物価が大きく上昇したと述べた。

各国中銀は資産バブルの回避に向けて行動するべきか、
バブルが崩壊してから対処するべきかとの質問には、
これは金融政策の対称性に関する問題であり、
これまでの政策は対称性を大きく欠いていたとの認識を示した。