一段の金融緩和策を支持していた=英中銀のマイルズ委員

イングランド銀行(英中央銀行)の金融政策委員会(MPC)の
マイルズ委員は、中銀が資産購入策を通して買い入れた英国債
利子収入を財務省に移管することで合意していなければ、
今月8日の金融政策委員会で一段の金融緩和策を
支持していたと述べた。

中銀は今月初め、資産購入策を通して買い入れた
国債の利子収入を財務省に移管することで合意。
引き渡す利子収入は350億ポンドを超える。

中銀は8日の金融政策委員会で政策金利を過去最低の0.5%に
据え置くと同時に、資産買い入れ策の規模も3750億ポンドに
据え置いたが、財務省に利子収入を引き渡すとの合意が
政策委員に知らされたのは、資産買い入れ枠の規模について
議論している最中だったという。

マイルズ委員はロイターのインタビューに対し、
利子収入を財務省に移管するとの決定で、
自身の投票行動が影響を受けたことを明らかにした。

同委員はこの会合で買い入れ枠の250億ポンド拡大に
投票しているが、この決定がなければ「これよりも大幅に
大きな額に投票していたはずだ」と述べた。

同会合で買い入れ枠の拡大に投票したのはマイルズ委員のみで、
他の委員はすべて買い入れ枠の据え置きを支持。

政府との合意が投票行動に影響を及ぼしたことを
明確に示した政策委員はマイルズ氏が初めてとなる。

キング中銀総裁は、財務省への利子収入の移管は
小規模な金融緩和と同等の効果を持つとの見解を
示しているが、野党や一部エコノミストからは、
政府による債務削減努力を容易にするために
編み出された方策のように見え、英中銀の独立性が
脅かされる恐れがあるとの批判も出ている。

マイルズ委員は、英中銀の独立性が
脅かされるリスクはないと発言。

政府は約3%の利子をつけて移管された資金を
中銀に払い戻す必要があるが、金融政策委員会は
この利率を引き上げないよう求める政府の圧力に
対抗することができるとの自信を示した。

多くの金融政策委員は生産性が低迷するなか金融刺激策を
導入すればインフレリスクが高まるとの懸念を示しているが、
マイルズ委員は金融刺激策の実施を提案。

これについては、「経済に存在する緩みがかなりの
規模になっていること、さらに、英国の生産性の
低迷は低成長そのものを反映したものであることを
踏まえた判断だった」と述べた。

その上で、量的緩和策の効果について疑問が
出ていることは認識しているとしながらも、
自身はこうした疑念を持っていないとし、
量的緩和策は「かなりの効果を持つ政策手段で
あり続けている」との考えを示した。